岸田首相「医薬品を日本基幹産業に」、創薬力強化へ…「ドラッグロス」早期解消も

首相官邸に入る岸田首相（３０日午前、首相官邸で）＝富永健太郎撮影

　岸田首相は３０日、国内外の製薬会社などを集めた会合を首相官邸で開き、医薬品産業を日本の成長を担う基幹産業と位置づけ、民間投資を呼び込み、開発が活発に進む体制づくりを進める方針を表明した。欧米で承認された薬が日本で使えない「ドラッグロス」の解消や創薬力強化に向けた工程表も公表した。

　この日の「創薬エコシステムサミット」には関係閣僚や国内外の製薬会社、ベンチャーキャピタル（起業投資会社）、大学などの産官学の関係者が参加した。

　近年、医薬品は多様な組織が連携しながら開発する場面が増えており、首相は「国内外から優れた人材や資金を集結させ、アジアを始めとした世界の人々に貢献できる『創薬の地』にする」と述べた。ドラッグロスについては、「患者がわらにもすがる思いで個人輸入や海外渡航をする状況があると聞くが、このような思いをしてほしくない」と、早期の解消に力を尽くす考えを示した。

　２４年夏から５年間程度の工程表では、▽創薬で中心的な役割を担う企業価値１００億円以上の新興企業を２０２８年までに１０社以上生み出す▽２６年度までに、欧米で実用化されているが、国内で未承認の薬の開発に着手する――などの目標を掲げた。