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体操のエース橋本大輝は腹をくくって最終演技に向かった…仲間は結果を知る前から涙

読売新聞 / 2024年7月30日 21時15分

鉄棒の演技を終えた橋本大輝選手(左手前)を迎える(右から)杉野正尭選手、岡慎之助選手、萱和磨選手、谷川航選手(29日、パリで)=三浦邦彦撮影

 第33回夏季五輪パリ大会第4日の29日、日本勢は金メダルを2個獲得した。体操の男子団体総合の日本(橋本大輝=セントラルスポーツ、萱和磨=同、谷川航=同、岡慎之助=徳洲会、杉野正尭=同)は、大逆転で2大会ぶりに頂点に立った。

 日本の最終演技者として鉄棒に向かう橋本が、残る4人に「みんなの思いを背負って戦いたい」と告げ、一人ずつ自らの背中をたたくよう頼んだ。手のひらからの刺激を感じながら、22歳のエースは「僕は幸せだ」と腹をくくった。逆転優勝に続く扉が開いた。

 登録5人のうち各種目3人が演技する決勝で、同じ班でゆかからスタートした中国と日本が交互に選手を送り出す。中国が首位を快走し、日本は橋本のあん馬の落下もあって最後の鉄棒を前に3点以上の差をつけられていた。ところが、中国の2人目が2度落下し、日本がわずかに先行。命運を託された橋本の表情から迷いも憂いも消えていた。

 前日のミーティングが大きな節目だった。前回の東京五輪銀メダルの記憶を引きずる主将の萱が「もう絶対に2番は嫌だ」と訴えた。5月に右手中指を負傷した影響もあり、今大会の予選でミスを重ねた橋本の目が潤む。「苦しい」と心情を打ち明け「(決勝は)死ぬ気でやります」と誓った。全員が互いに思いをぶつけ合い、「(橋本)大輝を助けていくんだという雰囲気を作れた」(代表コーチ)。

 決勝を締めくくる鉄棒で橋本は4人と喜びを分かち合うため、安全策で途中の持ち技を二つ抜き、着地をまとめた。仲間は結果を知る前から泣いていた。チームを支えて持ち上げるのがエースであれば、支えられて一体感を生み出すのも立派なエース。大歓声の中で奇跡の物語は完結した。(大舘司)

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