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お年玉で買ったのはマラソン大会で勝てる靴・柔道少年の夢は「世界一」…橋本壮市、やり残した夢に届かなくてもすがすがしく

読売新聞 / 2024年7月30日 21時27分

柔道男子73キロ級で銅メダルを獲得し喜ぶ橋本壮市(29日)=関口寛人撮影

 29日に行われたパリ五輪の柔道で、男子73キロ級の橋本壮市選手(パーク24)は準々決勝でフランス選手に敗れたものの、敗者復活戦を勝ち上がり3位決定戦も制して銅メダルを獲得した。

 何度もはね返され、ついにたどり着いた。橋本選手は日本柔道男子史上、最年長で五輪の畳に上がった。「絶対王者」に阻まれ続けた夢の舞台で、しぶとく戦い続けて銅メダルを手にした。(蛭川裕太)

 3位決定戦でコソボ選手に開始早々、背負い投げで技ありを奪った。終盤の相手の猛攻も耐え抜き、勝ちをもぎ取った。礼を終えると、両手を突き上げた。

 幼い頃から1番にこだわった。幼稚園児の時にお年玉で買ったのは、「マラソン大会で勝てる靴」。6歳から始めた柔道での夢は「世界一」だった。

 小学3、4年の頃には神奈川県の強豪・東海大相模中に進むと自分で決めた。小学校の卒業式の翌日、浜松市の親元を離れた。

 「強い選手は、他の人が休んでいる時に練習する」と考え、寮を抜け出し、走り込みを重ねた。3年の高校総体では日本一になった。

 転機は東海大時代に訪れる。身長1メートル70の体で海外勢と渡り合うため階級を81キロ級から73キロ級に変更。立ちはだかったのが同い年の大野将平さん(32)だった。

 「とてつもないライバル」との代表争いに敗れた2016年のリオデジャネイロ五輪。圧倒的な力で金メダルをつかんだ大野さんの姿をスタンドから目に焼き付け、「次の五輪は自分が優勝する」と誓った。

 17年の世界選手権で初優勝し、18年も準優勝。世界ランキング1位になった。翌年、国内大会の決勝で大野さんに挑んだ。9分以上の熱戦の末に敗れ、東京五輪を逃した。

 力を出し尽くした。それでも勝てなかった。もう世界一も経験していた。引退が頭をよぎった。踏みとどまったのは、「やり残したことがある」という思いが消えなかったからだ。

 東京五輪後、ライバルは競技生活に区切りをつけた。「柔道人生の集大成」。橋本選手はパリをそう位置づけた。代表内定後の1年は思い出すと涙が出るほど、体をいじめ抜いた。

 目指していた金メダルに届かず、悔しさはある。「手ぶらで帰るわけにいかなかった。僕の柔道人生に悔いが残らないよう、戦いました」。最後に見せたのはすがすがしい表情だった。

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