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「もう一回ハングリーになろう」…堀米雄斗に夢を託し、地獄から2連覇までを支えた恩師との絆

読売新聞 / 2024年7月30日 21時52分

スケートボード男子ストリートで連覇を果たし、早川大輔コーチ(左)と笑顔を見せる堀米雄斗選手(29日、パリで)=松本拓也撮影

 第33回夏季五輪パリ大会第4日の29日、日本勢は金メダルを2個獲得し、スケートボードの男子ストリートでは堀米雄斗(25)(三井住友DSアセットマネジメント)が2連覇を達成した。

 前回王者のプライドを示した。スケートボード男子ストリートで連覇を成し遂げた堀米雄斗選手(25)。生まれ育った東京での五輪を制して追われる立場となり、自分を見失いかけた時期もあった。恩人の支えで初心に立ち返り、壁を乗り越えた。

 絶体絶命だった。7位に落ち、一発の技を競う「ベストトリック」に挑めるのはあと一度だけ。その土壇場で大技を決めきり、一気にトップへと躍り出た。

 いつもはクールな王者がほえた。傍らで見守っていた代表コーチの早川大輔さん(50)と抱き合う。「本当に長かったし、地獄のような3年間だった」

 ライバルが急成長を遂げる中、2022年に始まった選考レースで苦戦した。1戦目8位、2戦目36位、3戦目が17位……。厳しい状況に追い込まれ、早川さんに言われた。「もう一回ハングリーになろう」

 堀米選手が11歳の時、2人は出会った。「米国でプロになりたい」と語る少年に、早川さんは果たせなかった自分の夢を託した。支援してくれる企業を探し、私財を投じて海外遠征に連れて行った。

 「将来はプール付きの家を買おう」と約束。堀米選手は高校卒業後に米国に移住し、スケボーの母国でトップスケーターにのし上がる。21歳でロサンゼルスにプール付きの家を購入した。

 五輪後、金メダルという目標を達成して「どうしたらいいのかわからなくなった」。だが、「あの頃のように、ギラギラした姿を取り戻せ」という思いを込めた恩人の言葉で変わる。

 ライバル選手の技や得点の傾向を研究し、演技構成を練り上げていった。パリ五輪切符をかけた予選最終戦を6月に控え、早川さんが米国を訪れ、2人で夜まで黙々と滑った。

 その最終戦も劇的だった。1位以外は五輪がほぼ絶望的な状況で、新技で高得点をたたき出して優勝。日本勢5番手から最終3番手に浮上し、代表に滑り込んだ。

 この時も、五輪連覇を果たした時も、2人の祝福の方法は同じだった。早川さんが堀米選手を肩車して喜びを分かち合った。

 「小さい頃から面倒をみてもらい、スケボーの楽しさを教えてくれた人。そんな大切な人が、五輪でもずっと支えてくれたのは、すごい力になった」

 大切にしている言葉がある。「Now or Never」。英語で「今を逃したら二度とない」を意味する。「支えてくれている全ての人に感謝して、『今しかない』という気持ちで頑張る」と言う。

 大会前、五輪にかける思いをこう明かした。「全スケーターが人生をかけ、そこを目指してやっている」。土俵際まで追い詰められても、王者の座は譲らなかった。「1%の可能性だったと思うけど、その1%を信じていた。最後に実ってすごくうれしい」(上田惇史)

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