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「新顔」「女性」に期待感…総裁選出馬へ推薦20人の確保、高い壁

読売新聞 / 2024年7月31日 5時0分

[政治の現場]総裁選前夜<4>

 総裁選出馬を視野に入れる衆院当選4回生に経験者の言葉は重く響いた。

 「周りから相手にされない状況で挑戦し、その後の政治活動のためになった。ただ、予想以上に厳しいぞ」

 自民党の前経済安全保障相・小林鷹之(49)は23日夜、東京都内の飲食店で総裁選について、前経済産業相の西村康稔(61)からこう説かれた。

 西村は当選3回の46歳だった2009年の総裁選に出馬し、谷垣禎一(79)、河野太郎(61)に及ばず、最下位の3位に終わった。

 小林は西村に「またゆっくり教えてください」と頭を下げた。

 総裁選を巡り、財務官僚出身の政策通で知られ、名前にある「鷹」の英語をもじった「コバホーク」の愛称を持つ小林の動向に注目がにわかに高まっている。

 「ポスト岸田」の顔ぶれに党幹部や総裁選の経験者が並ぶ中、政治資金規正法違反事件でイメージが悪化した党の変化を印象づける「新鮮さ」への期待感が大きいためだ。元環境相の小泉進次郎(43)と「KK対決を実現してほしい」との声も出ている。

 担ごうとする議員は盛り上がっている。

 「小林を応援してくれないか」

 今月中旬、若手参院議員は、小林と同じ12年衆院選の初当選組で茂木派の津島淳(57)から電話でこう依頼された。経済安保政策で小林と連携してきた麻生派の前幹事長・甘利明(74)は小林に「いつでも首相になれる準備をしておけ」と発破をかけている。

リスク

 小林は「いつか日本のかじ取りをという思いを持っている」と公言しつつ、「今回は出るとも出ないとも決めていない」と情勢を注視している。小林にとって出馬は一躍、総裁候補として名乗りを上げられる一方、「使い捨て」にされるリスクもはらんでいる。

 事件をきっかけに派閥の解散は相次いで決まったものの、総裁選に向けては、元の派閥の固まりを維持し、最終的に勝てる候補に乗ろうとする動きが水面下である。個々の議員で動いても、総裁選後の党役員・閣僚人事で影響力を発揮できないとの心理が働くためだ。小林が所属していた二階派も例外ではない。

 閣僚経験者は「派閥の論理がまかり通ると、党に大きな変化は起きにくい」と危惧する。

 前政調会長の萩生田光一(60)は3日夜、都内の焼き肉店で会食した小林にこう忠告した。

 「気をつけた方がいい。今のように党への風向きが悪い時には皆若手を推すが、後になって足を引っ張ることもある」

 小林も「派閥が前面に出るようでは党は終わりだ」と周囲に漏らし、警戒感を強めている。

活発化

 初の女性首相を目指す動きも再び活発化している。

 経済安保相の高市早苗(63)と、元総務相の野田聖子(63)は前回の21年総裁選に続いての出馬に向け、準備に余念がない。

 高市は22年7月の銃撃事件で亡くなった元首相・安倍晋三の路線継承を訴え、党内保守層の支持を足がかりにしたい考えだ。

 昨年11月から自身の勉強会を始め、全国を精力的に回っている。今月28日には、沖縄県糸満市を訪れ、満員近い約600人が集まったホールで、日本の技術力などをテーマに講演した。会場の外では、高市が安倍の命日である8日に合わせて出版した経済安保に関する著書が積み上げられ、ほぼ完売する好評ぶりだった。

 野田は24日夜、前回総裁選で推薦人に名を連ねた国会対策委員長の浜田靖一(68)、政調会長の渡海紀三朗(76)らと都内のホテルの日本料理店に集まった。野田は浜田をハグし、変わらぬ親密さを見せた。

 もっとも、2人は壁にぶち当たっている。高市は前回総裁選で安倍の強力な後押しを受けたが、「独り立ち」を余儀なくされた。勉強会の参加者は毎回十数人にとどまり、総裁選出馬に必要な推薦人20人には届いていない。

 野田も同じ悩みを抱える。前回は元幹事長の二階俊博(85)の協力を得て、「4度目の正直」で20人をかき集めたが、今回はさらに苦労しそうだ。

 浜田は首相で総裁の岸田文雄(67)を支える執行部に身を置いていることを踏まえ、周囲には「今のトップが『また出る』と言えば、野田をやるのは難しい」と漏らした。(敬称略)

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