1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

電話によるカスハラ被害者の「不眠、通院、休職、退職」問題 コールセンター担当者「それでも以前より改善」

J-CASTニュース / 2024年7月30日 12時10分

電話によるカスハラ被害者の「不眠、通院、休職、退職」問題 コールセンター担当者「それでも以前より改善」

カスハラが社会的な問題に

「過去3年以内に電話によるカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けたことがある」

そう回答した全国の25~60歳の男女に、内容を尋ねたところ(複数回答)、大声や罵倒などの「暴言」が65.3%、30分以上の通話など「長時間にわたる電話」が55.0%を占めた。

毎日かかってくる、日に何度もかかってくるなどの「繰り返しにわたる電話」が39.6%、◯◯しないと××するぞといった「威嚇・脅迫」が35.9%。性的な発言を含む「セクハラ」に遭った人も18.1%いたという。

女性従業員にのみ「性的な質問」をする男性客も

この調査は、「トビラフォン Biz」「トビラフォン Cloud」を提供するトビラシステムズによるものだ。このような深刻なハラスメントにもかかわらず、勤務先でカスハラ対策をされていると答えた人は37.4%どまりだった。

カスハラ対策が行われず放置されている理由は「対応できる部署がなかったから」が52.2%、「企業が対策の必要性を感じていなかったから」が39.0%。具体的なカスハラの内容について、自由記述には以下のような回答が寄せられている。

「こちらは何も悪くないのに『嘘をつかれた。嘘つきな店員は辞めさせろ』と長時間にわたり電話で叱責をうけた」(20代女性)
「毎朝毎夕電話をかけてこられ、自分勝手な要望やそれが通らないときに怒涛のクレームをつけてくる。電話一回あたりの時間は一時間以上」(40代男性)
「『お前は馬鹿か』など自身の存在を否定されるような言葉を毎日言われた」(30代女性)
「女性従業員にのみ性的な質問をしてくる。男性従業員に代わった途端に電話が切れる」(30代女性)

いずれも正当なクレームとはとても思えないものばかりだ。

電話によるカスハラを受けたことで心身に影響があったかを問うと(複数回答)「怒りや不満、不安を感じた」と答えた人が66.1%、「仕事に対する意欲が減退した」が49.8%もいた。

このほか「仕事に恐怖を感じるようになった」「眠れなくなった」「異動や退職をしたいと感じた」「会社を休むことが増えた」「通院や服薬をした」「休職した(2週間以上)」「退職した」と回答した人たちもいる。

「その他サービス業」の内訳は

電話によるカスハラ発生が少ない業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」と「鉱業、採石業」が2.1%、「郵便局、農業協同組合等」と「学術研究、専門・技術サービス業」が2.2%で並んでいる。

一方、電話によるカスハラ発生が多い業種は「その他サービス業」が17.4%と最も多く、次いで「医療、福祉」が14.7%、「卸売業、小売業」が14.1%、「製造業」が11.1%と続いている。

調査結果には詳しい業種の中身が書かれていないが、「その他サービス業」とは具体的にどのような仕事なのだろうか。

最新(2023年7月改定)の日本標準産業分類によると、「大分類R」に「サービス業(他に分類されないもの)」があり、その内訳として「88 廃棄物処理業」「89 自動車整備業」「90 機械等修理業」「91 職業紹介・労働者派遣業」などと並んで「92 その他の事業サービス業」がある。

その下には「920 管理、補助的経済活動を行う事業所」「921 速記・ワープロ入力・複写業」「922 建物等維持管理業」「923 警備業」とともに「929 他に分類されない事業サービス業」がある。

さらにその下には、催事などの展示に関わる「9291 ディスプレイ業」や「9292 産業用設備洗浄業」「9293 看板書き業」「9294 コールセンター業」「9295 ペストコントロール業」があった。なおペストコントロール業とは「主として人間にとって有害な生物等(害獣・害虫、細菌、ウイルス) の防除・駆除・消毒を行う事業所」を指す。

いずれも電話によるカスハラを受ける可能性のある業種だが、やはり筆頭は「コールセンター業」だろう。

長年コールセンターで働いている40代女性は、それでも最近はかつてより職場環境はよくなっているのではないかという。

「就職氷河期でなかなか内定が出ず、ようやく銀行系のクレジットカード会社に滑り込んでホッとしていたら、コールセンター配属という辞令を聞いてビックリして...。仕事が始まるといきなり暴言や脅迫の嵐で、同期入社がどんどん辞めていきました」

たしかに「シニア層」のカスハラの割合は高いが

それでは「環境改善」とはどういうことなのだろうか。

「以前はカスハラという言葉もなかったので、お客様を否定的に見ることすら許されなかったのです。しかし今では、お客様であっても不当な発言は許されない、というスタンスがようやく固まりつつありますし、それを前提として、会社が社員を守ってくれる仕組みもできつつあります」

以前はどんなスタンスだったのか。

「お客様を批判せず、いかにハラスメントをかわして会社の目的を達成するか、という対処が現場にゆだねられていました。その中で生み出されるテクニックにはたしかに使えるものもありましたし、プロとしては必要悪だと今では思えますが、傷ついて辞めていった仲間を振り返ると複雑な気持ちですね」

カスハラについてどう考えているだろうか。

「厚生労働省の資料にカスハラ加害者の説明として『社会的地位の高い人、高かった人、定年退職したシニア層などに傾向が見られる』とあって批判されましたが、そういう人たちが威張り散らすタイプのカスハラをする割合が高いのは事実です。おそらく精神的・心理的な要素や老化、疾患も関係していると思うので、他の人たちとは違う対応が必要だと考えています。とはいえ、それ以外の属性の方、たとえば若者や女性でもカスハラをする人はいるので、決して一概にはいえないことは知っていただきたいです」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください