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企業の採用担当者は大学1年生夏休みからアタック! 早すぎる就活...学生がメリットを活かすには/dodaキャンパス編集長・岡本信也さん

J-CASTニュース / 2024年7月30日 18時27分

企業の採用担当者は大学1年生夏休みからアタック! 早すぎる就活...学生がメリットを活かすには/dodaキャンパス編集長・岡本信也さん

オープンカンパニーで企業の話を聞く大学生(写真はイメージ)

ええっ、就職活動は大学1年生の夏休みから?! 年々、大学生の就活が早まるなか、企業の採用担当者は入学直後から接点づくりを図っており、実際に大学1、2年生のうちからオープンキャンパス(会社説明会)などを盛んに実施している。

学生の就活支援や企業の採用支援を行なう「ベネッセi-キャリア」(東京都新宿区)が2024年7月19日に発表した「『大学1、2年生向けのキャリア形成』に関する企業担当者の意識・実態調査」で、特に大学1年の夏休みがターゲットになっていることが明らかになった。

そんなに早くから就職活動をして学業のほうは大丈夫なのか。調査担当者に聞いた。

企業が学生対策を開始する時期トップは「1年生の7~9月」

ベネッセi-キャリアの調査(2024年7月3日~6日)は、大学生の新卒採用に従事している企業担当者516人が対象。

まず、大学1、2年生向けのキャリア形成に関して、「大学1、2年生との接点づくりの必要性を感じているか」と聞くと、「大いに感じる」(36.4%)と「やや感じる」(39.7%)を合わせて76.1%が必要性を感じていた【図表1】。

その理由を聞くと(複数回答可)、「就活本番期前に大学生の自社認知度を高めたい」(68.4%)、「就活本番期前に大学生の自業界認知度を高めたい」(55.7%)、「自社にフィットする人材を早期に見つけたい」(51.9%)などが上位に上がった。

実際のキャリア形成支援の実施状況を聞いたのが【図表2】だ。タイプ1のオープンカンパニーでは、「実施している」「実施を予定している」「実施を検討している」を合わせて45.1%が実施に前向きだ。タイプ2のキャリア教育では、実施に前向きなのは41.4%だった。

注目すべきは、大学何年生のいつに実施するかを聞いた回答だ。

【図表3】は、たとえばオープンカンパニーの実施時期を聞くと(複数回答可)、「大学1年生の7~9月」(42.1%)が最も多い。これは、キャリア教育でも同様で、「大学1年生の7~9月」(38.8%)がトップだった。

つまり、企業の担当者は大学1年生の夏休みに焦点を当てているわけだ。まだ、大学に入って4か月しかたっていないのに、もう就職のことを考えなくてはならないのだろうか。

企業側ではこうした早い段階でのアプローチについて、「成果あり」という回答が66.3%にのぼっている【図表4】。

企業側の狙いは、大学との関係を強めたい

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したベネッセi-キャリアの「doda(デューダ)キャンパス」編集長の岡本信也さんに話を聞いた。

――近年、大学生の就活がスピードアップし、2025年卒(大学4年生)の内定率が7月1日段階で90%に達した調査もあります。ベネッセi-キャリアの調査では、2026年卒(大学3年生)がいつごろから就活を開始したのか、また、企業側がいつごろから接点づくりを始めていたのか示すデータがありますか。

岡本信也さん 現在の3年生が就活を始めた時期は、3年生の4月(34.5%)がトップ、2位は5月(25.2%)です。合わせて約6割が、3年生になった直後からスタートしています。2年生から動いた学生も8.1%、1年生から始めた人も3.5%いました。

企業が、接点づくりを開始した時期の調査は、じつは今回が初めてです。ほかの就職関連会社でもこれまで調査したことはなかったのでないかと、自負しています。会社説明会や職場見学など、さまざまな施策の開始時期で最も多かったのが「大学1年生の7~9月」ということになります。

この結果には私たちも驚いています。

――大学1年生の夏休みとは早すぎますよね。企業がこれほど早く学生と接触したい理由は、ズバリ何しょうか。企業側にとってどんなメリットがあるのでしょうか。

岡本信也さん 1つ目は学生に自分の会社の認知度を上げること。2つ目は大学との関係性を強化することです。

コロナ禍以降、学生・大学双方との接点は希薄になりましたが、学生採用を続けるうえで大学キャリアセンターとの接点は重要です。「キャリア教育の充実」「学生と社会との接点を持たせたい」という大学側のニーズと、企業側のニーズが合致していることも考えられるでしょう。

――企業側のメリットはわかりますが、学生側のメリットはどこにあるのでしょうか。低学年の頃は、学業や部活など大学生らしい生活に専念することが大切と思いますが、いかがでしょうか。

「働く」とはどういうことか、興味をもつ学生が増加中

岡本信也さん 大学1、2年生の時から就活に本腰を入れるということではなく、「社会に出ること」「はたらくこと」ということはどういうことなのか、興味をもつ学生が増加しています。

低学年の頃は、学業と就活、どちらかの選択ではなく、就活について緩やかに考え始め、少しずつ視野を広げている過程であり、よりよい状態で就活本番期を迎えることができると考えます。

―― 一方で、早くから「将来の仕事のことを考えるのは、勉強する意味を理解するうえで大切」という見方もあります。また、早く就活を終わらせることができれば、勉強に専念できるという見方もあります。こうした「就活のスピードアップ」のメリット、デメリットについてはどう考えていますか。

岡本信也さん 「就活のスピードアップ」が「就活開始時期の前倒し」というであるならば、早期化のメリットは、余裕をもって自分のキャリアについて考えることができることです。

大学3年後半からだと短い期間での見極めになってしまい、結果として納得感の低い就活につながる可能性も高くなります。

また、キャリア感が養われることで、自分に合う企業や職種が見極めやすくなるというメリットもあります。また、昨今課題となっているのは、就活の「長期化」です。

長期化による学生側のデメリットは学業への影響です。企業側でもデメリットが大きく、採用に関わる工数の増大、内定承諾率の見極めの難しさなどがあげられるでしょう。

行動を少し変え、小さな一歩を踏み出すと、見えてくる世界が変わる

――就活のスピードアップが避けられない流れだとするならば、大学1、2年生に対して、どんなアドバイスがありますか。

岡本信也さん 大切なことは何よりも「計画性」だと思います。多くの先輩は、社会に出たあとに「世の中が想像以上に広かった」ことを知ることになります。

ファーストキャリアを納得感の高いものにするために、まずは大学生活(学業/課外活動/アルバイト等)を充実させながらも、計画的に社会を知るための準備と行動が大切になります。

これらの準備や行動は、就職活動だけではなく、大学での学びやアルバイトの選択などにも良い影響をもたらすことがあります。多くの大学では大学1、2年生向けに、社会に繋がる情報やカリキュラムを提供しています。

キャリアセンターに行ってみたり、企業主催の1、2年生でも参加できるオープンカンパニーに参加したりするなど、行動を少し変え、小さな一歩を踏み出すだけで見えてくる世界観は変わってきます。ぜひ、チャレンジしてください!

就活の早期化は、入社後のミスマッチが生じる一因

――「シューカツ!」とあまり意識しないで、気軽な社会勉強という気持ちで始めればいいわけですね。今回の調査で特に強調しておきたいことがありますか。

岡本信也さん 企業側でも大学1、2年生との接点づくりは、「エントリー率が上がった」「低学年で接点がある学生は人柄も理解できているので、選考時の時間削減につながった」などと、実施施策の66.3%に成果が出ていると満足しています。

しかし、課題感として、就活が本格化する大学3、4年生向けの施策に比べ、1、2年生はどういうプログラム内容を設計すれよいかを挙げる企業が多く、試行錯誤している様子が伺えます。

また、学生側から見ると、早期化の影響で、就活本番期前までに自己分析などを通じた自身のキャリア観を醸成するための十分な時間を確保できないため、自分の興味・関心のある分野という限られた選択しかできないことになります。

結果として入社後のミスマッチなどが生じる一因となっています。大学生が低学年期から将来のキャリアについて考える機会は、学生、企業双方に、今後ますます求められてくるでしょう。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)



【プロフィール】
岡本 信也(おかもと・しんや)
dodaキャンパス編集長

2006年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。人材紹介事業に従事し、主に商社・不動産領域の法人営業として採用支援などを経験。その後、転職メディア事業で中堅、中小企業を担当する法人営業組織のマネジメントに従事。
2018年からベネッセi-キャリアに出向し、新卒オファーサービス「dodaキャンパス」の立ち上げを経験後、同事業部の営業部長を経て、2023年4月に事業本部長、dodaキャンパス編集長に就任。

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