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自衛隊の不祥事 文民統制は保たれているのか

読売新聞 / 2024年7月31日 5時0分

 逮捕者が4人いることを知りながら、海上自衛隊幹部も防衛官僚も木原防衛相に報告していなかった。言語道断だ。

 防衛政策の根幹である文民統制が揺らぎかねない。岸田首相も防衛相も、事の重大性を認識する必要がある。

 海自の潜水士が訓練の回数や時間を偽って、潜水手当を不正に受給していたとして、警務隊が昨年11月、元隊員4人を詐欺容疑などで逮捕していたが、この事実は最近まで公表されなかった。

 防衛省は今月12日、この不正受給問題で74人の処分を発表したが、その際も逮捕については一言も触れなかった。初めて明かしたのは18日の野党による聞き取りの場で、木原氏への報告も、その後の19日未明に行ったという。

 木原氏は衆院安全保障委員会の閉会中審査で、担当の防衛官僚が「報告の必要性の認識を欠いていた」のが原因だとし、「 隠蔽 いんぺいの意図はなかった」と述べた。

 内部規定では、警務隊が隊員らを逮捕した場合、直属の上司に報告することが義務づけられているが、防衛相に報告する仕組みにはなっていないという。防衛省は今後、逮捕事案などを防衛相に伝える制度を整えるという。

 「制服組」と呼ばれる自衛官が、様々な事象を直接、防衛相に報告する必要はないだろうが、部隊から報告を受けた「背広組」の防衛官僚が防衛相に即刻、報告するのは当然ではないか。

 今回、処分を担当した背広組の幹部は、事務方トップの次官には逮捕事実を伝えていた。12日の発表前には、木原氏とも打ち合わせを行っていたが、「十分な時間がとれなかったため」、逮捕については報告しなかったという。

 だが、処分に関して打ち合わせていた以上、「時間がなかった」という言い訳は成り立たない。

 木原氏の責任も重い。一連の不祥事が国会開会中に判明していれば、すぐさま進退問題に発展していただろう。自衛隊の最高指揮官である首相も、対応を木原氏に任せきりにしてはならない。

 防衛省、自衛隊の隠蔽体質はかねて指摘されてきた問題だ。

 陸自の郡山駐屯地に勤務していた女性自衛官が、複数の男性隊員から性暴力を受けていた事案では、女性が実名を明かして被害を訴えるまで、防衛省は本格的な調査を行わなかった。身内に甘い組織風土は改まらないのか。

 防衛省、自衛隊が信頼を失い、肝心の防衛政策に影響が出るような事態は避けねばならない。

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