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メダルラッシュ 努力と精神力で逆転呼び込む

読売新聞 / 2024年7月31日 5時0分

 パリ五輪は競技が本格化し、序盤から日本勢のメダルラッシュに沸いている。強さを物語るキーワードは、「大逆転」と「チームワーク」ではないだろうか。

 体操の男子団体総合は、日本が最終種目の鉄棒を迎えた段階で、中国に大差をつけられ、2位に甘んじていた。ここで中国の2人目が2度、手放し技で落下し、勝負の行方は、最後に登場するエースの橋本大輝選手に託された。

 橋本選手は東京五輪の金メダリストだが、今大会は予選の鉄棒の着地で転倒し、決勝もあん馬で落下していた。会場には、主将の萱和磨選手の「諦めんな」という声が何度も響き渡った。

 橋本選手は豪快な手放し技を決め、着地をまとめた。優勝が決まると、チーム5人は輪になって抱き合い、萱選手は涙を見せた。

 2大会ぶりの金メダルは、体操日本の強さを改めて示した。橋本選手は「4人のおかげで最高の演技ができた」と語った。内村航平さんという絶対王者が引退した今大会は、チーム力でつかんだ勝利だと言えるだろう。

 スケートボードの男子ストリートも劇的な逆転勝利だった。

 東京大会金メダリストの堀米雄斗選手は、決勝の終盤で3回着地に失敗し、全体の7位で最後の滑走に臨んだ。「泣いても笑っても最後。悔いだけは残さない」と、実戦で1度しか成功していない大技に挑み、2連覇を達成した。

 五輪の選考レースで苦戦し、一時はパリ五輪出場が危ぶまれた。堀米選手は「地獄だった。何をやってもうまくいかない」と振り返っている。苦境を脱し、土壇場で力を発揮できたのは、厳しい鍛錬があったからに違いない。

 柔道では、女子48キロ級の角田夏実選手が初の金メダルを獲得し、男子66キロ級の阿部一二三選手は東京大会に続く連覇を達成した。

 角田選手は52キロ級で東京大会出場を目指したが、阿部選手の妹、詩選手に阻まれ、階級を変えた経緯がある。その詩選手は今回、2回戦で敗れ、兄の阿部選手は「妹の分まで」と奮起した。

 敗戦後に泣き崩れた詩選手は、ここからはい上がって、兄妹の物語の続きを見せてほしい。

 馬術でもチーム力を生かし、92年ぶりにメダルを獲得するなど、歴史ある競技でも健闘が光る。

 困難に打ち勝つ努力と、失敗しても諦めない精神力。選手たちの姿は、大きな感動と共に、今の日本に大切なものを、見る者の胸に伝えてくれている。

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