1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

村田諒太が語る五輪…「金」は運が良かっただけ、力を発揮する方法は心を見つめること

読売新聞 / 2024年7月31日 6時22分

ボクシング五輪金メダリスト 村田諒太さん 38

 2012年のロンドン五輪のときは、五輪をゴールだと思っていた。ボクシングを続ける気もなかったので、これで終わり。結果としてスタート地点になってしまったけど……。懐かしい。

 ミドル級で金メダルを取れたけど、運が良かっただけ。パフォーマンスは高くなかった。前年、準優勝だった世界選手権の方が断然、出来は良かった。物事というのはマルかバツかでとらえがちだけど、実は微妙に三角だったり、 楕円 だえんだったりする。ちょっとした修正でいいのに大げさにやって全く逆にいってしまう。体を使うタイミングがずれていた。スランプみたいなもので、元の状態にはなかなか戻らなかった。結局、11年の世界選手権のパフォーマンスを取り戻せたかというと、そうではなくて、あのときほどの満足感もなかった。

 五輪で力を発揮するためにはどうすればいいのかは難しい。選手それぞれ悩みは違うから個人に合わせたものを処方できなければ意味はない。根本的にこうやったらいいという万能薬はない。でも自分をしっかり見つめることが唯一、万能薬に近い。

 僕は五輪のときに本を読んでいた。でもそれは外の情報。大事なものは心の内側にあって内側を見つめる習慣…… 瞑想 めいそう、座禅、日記でもいい。見つめていくと抱えている葛藤、もやもや、不安が浮き上がる。浮き上がった瞬間に、それは対処できるものになる。要はお化けではなくなる。どうやってそれをクリアできるか、コントロールできるようになる。そこが大事ではないか。

 本を読むことは一つの方法だ。言葉に助けられることもある。だから本を読むことは否定しないし、心に刺さる本もある。それはそれでいいけど、最終的には内側だと思っている。

 僕の場合、五輪のときになかなか内側を見つめることはできなかった。でも、本当に一生懸命だったことはよく覚えている。ボクシング自体が狂って楕円のような状態だったとしても迷いがなかった。やってやるという一心でできたことが良かったんだと思う。

むらた・りょうた 1986年生まれ。奈良県出身。2012年ロンドン五輪のボクシングで日本人48年ぶりとなる金メダルを獲得した。13年にプロデビュー。17年に世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王座奪取。22年にゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との統一戦に敗れた。23年に現役引退。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください