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OAなしでも3戦7ゴール無失点の日本代表、したたかさも忘れず「因縁」スペインに挑戦[編集委員の目]

読売新聞 / 2024年7月31日 8時16分

 パリ五輪のサッカー男子は30日、1次リーグが行われ、D組の日本はイスラエルと対戦。後半ロスタイムに途中出場のエース細谷真大がゴールを挙げて1-0で勝利。3連勝で、首位通過を決めた。準々決勝でC組2位のスペインと対戦する。

 24歳以上のオーバーエージ選手が1人も入っていない日本が3連勝。計7得点、失点はゼロという非の打ち所のない成績で準々決勝へ進んだ。

快進撃の立役者は小久保

 立役者はマリ戦に続き、GK小久保玲央ブライアンだった。開始7分、日本の左サイドを破られてフリーで放たれたシュートを左足でストップすると、後半も、勝つことが8強入りへの最低条件となるイスラエルの攻撃を止め続けた。80分の相手シュートは両手で確実にはじき、直後にも味方のミスから招いたピンチで好セーブを見せた。

 シュートを打たれる瞬間まで正しいポジションを取って落ち着いて構えているうえ、ボールをキャッチができなくても、詰めてくる相手選手のいないところにはじくから、ゴールを奪われる気がしない。優勝して五輪出場権を得た23歳以下アジア杯以来、圧倒的な存在感を示す試合が続いている。

 大岩剛監督にとっては、どんなメンバーで臨むか、知恵を絞った試合だっただろう。パラグアイ、マリを下し、既に1次リーグ突破は決まっている。「勝っているときはチームをいじらない」という考え方もあるが、警告累積による今後の出場停止の危険や、選手の疲労も考えれば、既にイエローカードをもらっている選手はできるだけ使わず、それでも確実に結果は出したい。

藤田譲瑠チマ、さすがのゲームコントロール

 結局、先発はマリ戦から6人が入れ替わったが、序盤はその初先発の選手にミスが目立って押される展開になった。しかし、2戦連続得点と好調のMF山本理仁を中心とした冷静なパス回しで徐々に落ち着きを取り戻すと、チャンスを作れる機会も増えた。

 試合終盤になって、MF川崎颯太が相手との接触で倒れ、マリ戦で警告をもらっていたMF藤田譲瑠チマを投入することになったのは誤算だったかもしれないが、ここで藤田はさすがのゲームコントロールを見せた。91分には右サイドへパスを出し、ここからの折り返しを途中出場のFW細谷真大が押し込んで、これが決勝点となった。

 終わってみれば、バックアップメンバーとされた選手も含め、控えGK2人を除いて全員を起用しての堂々の首位突破。ゴールは生まれなかったものの、セットプレーでは様々なデザインされた攻撃を見せるなど、チームとしての総合力の高さがうかがえる。

 ただ、試合運びという面では、引き分け狙いでもいい試合終盤に、中盤での守備が緩くなったり、リードした後の時間帯で点を取りに行く必要もないのにサイドバックが相手ゴール近くまで攻め上がったりと、若さが目立つ場面もあった。

 準々決勝は、この日エジプトに敗れてC組2位となったスペインとの対戦と決まった。3年前の地元東京大会の準決勝で延長戦の末に敗れた強豪だが、金メダルを目標に掲げている以上、いずれは当たらなければいけない相手だ。今の勢いを保ったうえで、したたかさも忘れずに、大きな壁に挑んでほしい。(編集委員 川島健司)

かわしま・けんじ 1963年、東京都生まれ。87年入社。宇都宮支局、地方部を経て91年に運動部。97~2001年にはロンドンを拠点に主に欧州のスポーツを取材。運動部デスク、部長を経て、14年から編集委員。17~21年は、東京オリンピック・パラリンピック準備室長を兼務した。サッカーのワールドカップは2022年カタール大会など男女合わせて計7大会を現地取材。

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