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東京女子医大理事長の「一強体制」で統治不全、寄付「公正さ欠く」…第三者委が組織改革求める

読売新聞 / 2024年8月1日 5時0分

 東京女子医科大(東京都新宿区)の岩本絹子理事長(77)の元側近への不正給与疑惑や教員人事で寄付額が考慮されるなどした問題で、大学が設置した第三者委員会がまとめた調査報告書の概要がわかった。報告書は、寄付の考慮について「公正さを欠く」と認定。一連の問題の背景に、岩本氏の「一強体制」によるガバナンス(組織統治)不全があったとして組織改革を求めた。

 同大は31日夕、臨時理事会で第三者委から調査報告書を受領し、文部科学省に提出した。近く報告書の概要を公表するという。

 検証されたのは、〈1〉同窓会組織「至誠会」元職員の女性が同会と大学側から二重で給与を得ていた疑い〈2〉同大関連工事の発注を巡り、元職員の関連会社が元請け業者から1億円超を得ていた問題〈3〉教員の昇格・採用に同会への寄付額が考慮されていた問題〈4〉子女枠の推薦入試で受験生側から寄付金を受けていた問題――などで、大学関係者への聞き取り調査が行われてきた。

 関係者によると、問題の元職員は岩本氏が院長を務めていた産婦人科クリニックの元従業員で、2015年に至誠会に就職した後、同大に出向し、岩本氏の側近として勤務していた。

 報告書では、元職員への二重給与の支払いを認定した上で、労務の対価として「過大だった」と評価した。一方、元職員の関連会社が業者から1億円超を得ていた問題については、業者などから十分な協力が得られず、「疑いがある」との見解にとどめた。

 同大医学部卒業生の教員人事や子女枠推薦入試の選考過程では、至誠会への寄付額が点数化され、それぞれの評価に影響していた。

 第三者委は、推薦入試の願書に寄付の実績を記載させていたことは、受験生らに心理的な負担を与えたと言及。教員人事については「(教員は)寄付を行わなければ不利になると考えていた」と指摘した。その上で、こうした仕組みを「弱い立場につけ込んだ制度設計」と表現し、「強い非難に値する」とした。

 岩本氏は19年4月に副理事長から理事長に就任し、多くの決定に関与してきた。第三者委は、岩本氏が全権を掌握しており、「経営責任は極めて重い」と批判した。学長も指示に従い、理事会が機能していなかったとして、体制の刷新も含めた組織改革を求めた。

 同大は31日、ホームページ上で報告書の受領を発表し、「皆さまに多大なるご迷惑をおかけしましたことを、深くおわび申し上げます」と謝罪。「再発防止策を講じるとともに、管理運営体制の再構築を含む改善計画を策定し、健全な法人運営に努める」とした。

 不正給与疑惑を捜査している警視庁は、今年3月に一般社団法人法の特別背任容疑で、関係先として同大本部や岩本氏の自宅など計十数か所を一斉捜索し、押収した資料の分析や関係者への事情聴取を進めている。

 第三者委は4月に設置され、元最高検次長検事の山上秀明氏をトップに4人の弁護士が調査してきた。

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