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最高幹部殺害されたハマス、抵抗が一層激化か…集団指導体制で「活動が停滞することはない」

読売新聞 / 2024年8月1日 9時16分

 【エルサレム=福島利之、テヘラン=吉形祐司】イスラム主義組織ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ氏(61)の殺害は、中東全体の混乱に拍車をかけかねない。パレスチナ自治区ガザなどでイスラエルに対する抵抗はいっそう激しくなり、自国で賓客を殺されたイランも報復する構えを見せているからだ。

沈黙

 イスラエル政府は、ハニヤ氏の殺害に沈黙を保っている。イスラエルのネットメディア「Yネット」によると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は全閣僚にかん口令を出したという。

 公共放送カンなどによると、イラン領空外からミサイルで攻撃したという。ハニヤ氏の動静など地上からの情報も不可欠で、イスラエルの対外情報機関モサドが関与しているとみられるが、モサドが作戦を明らかにすることはない。

 イスラエルは昨年10月にハマスの奇襲を受けて以来、「ハマス幹部の殺害」を公言してきた。だが、戦闘が間もなく10か月となるなか、ガザのハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏を含め「ハマスの壊滅」という目標は達成されていない。

 ハニヤ氏殺害は、ハマスに強硬な国内の支持基盤に向けて「戦果」をアピールする狙いがあったとみられる。ハニヤ氏が拠点を置くカタールは停戦と人質解放交渉の仲介国だ。同国で殺害すればイスラエルが重視する人質交渉からカタールが離脱するおそれがある。ハニヤ氏のテヘラン訪問は「絶好の機会」(イスラエル人記者)だった。

幹部を分散

 「この事件は(パレスチナ)紛争の歴史の変わり目となる。イスラエルは相当な反撃に遭うだろう」――。ハニヤ氏の側近タヘル・ヌヌ氏は31日、中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラのインタビューに述べた。

 ハマスは、イスラエルによる暗殺に備えて集団指導体制を取り、幹部をカタールやレバノンなど中東各地に分散させている。ハニヤ氏の殺害は、組織に痛手だが、最高意思決定機関である政治局には約20人が所属しており、「組織の活動が停滞することはない」(消息筋)模様だ。今後、次の指導者を選ぶことになる。

ガザ以外でも

 パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は31日、「卑劣な行為だ」と非難する声明を出した。同自治区ヨルダン川西岸ではこの日、大規模な抗議デモが呼びかけられ、多くの商店が閉められた。

 イスラエルへの抵抗はガザ以外でも強まりそうだ。ハニヤ氏が殺害されたのは、30日に行われたマスード・ペゼシュキアン大統領の就任宣誓式に出席するため訪問していたイランの首都テヘラン。イスラエルと敵対してきたイランはメンツを失った格好で、親イラン勢力と連携してイスラエルへの攻撃を強めるとみられる。

 イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は31日、ハニヤ氏の殺害をイスラエルの仕業と決めつけた上で、「イラン領内で殉教した彼の血に対する 復讐 ふくしゅうは、我々の義務である」とする声明を異例の早さで発表した。ハメネイ師の命令は絶対で、直接、間接を問わず何らかの報復が行われることは不可避となった。

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