技術は大人になっても向上する…北川ひかるの高い技術と勝負強さ「唯さんから右上に蹴ってみれば、と言われて」

前半終了間際、チーム３点目となるＦＫを決めて喜ぶ北川ひかる（中央）（７月３１日）＝松本拓也撮影

　パリ五輪のサッカー女子１次リーグの最終戦が３１日に行われ、Ｃ組の日本（なでしこジャパン）はナイジェリアに３―１で快勝した。２勝１敗で勝ち点を６とし、同組２位で決勝トーナメント進出を決めた。準々決勝でＢ組１位の米国と対戦する。日本は２２分、浜野のゴールで先制。３２分に田中が追加点を奪った。その後１点を返されたが、前半ロスタイム、北川が鮮やかなＦＫを突き刺した。

　逆境に耐えてきた北川が、重苦しい雰囲気を振り払った。

　前半終了間際、２点リードの押せ押せムードがミスからの失点でしぼみ、相手に流れが傾きかけていた。ゴールやや右からのＦＫ。キッカーの北川は「（長谷川）唯さんから右上に蹴ってみれば、と言われて、その通りに蹴った」。左足から放たれたボールは、鋭い軌道で狙ったコースへ。高い技術と勝負強さで代表初得点を刻み、仲間にもみくちゃにされた。

　世代別代表の常連だったが、フル代表には定着できなかった。そんな状況を打破しようと、パス一つ、ボールの持ち方一つにこだわるなど細部から見つめ直した。「技術は大人になったら向上しないと聞くけど、それは違うと実感できた」。今年２月の五輪最終予選で約１年半ぶりに代表復帰。左サイドのスペシャリストとして存在感を高め、五輪メンバーに滑り込んだ。

　大会直前、地元石川での強化試合で右膝を負傷。また試練が訪れ、「正直、焦りはあった」。地道なリハビリを経て復帰し、大会初出場で勝利に貢献した。「夢の舞台で自分らしさは出せた。本当にメダルを持って帰りたい」。チームは決勝トーナメントに進んだものの、主力をけがで欠く苦境にある。はい上がってきたレフティーの力が必要だ。（林田晴樹）