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「令和の三四郎」村尾、4年後は「借りを返したい」…胸に刻む言葉は「Be Real」

読売新聞 / 2024年8月1日 12時9分

男子90キロ級決勝でジョージアの選手に敗れ、悔しがる村尾三四郎選手(7月31日、パリで)=関口寛人撮影

 「令和の三四郎」が、その名を世界に知らしめた。男子90キロ級で銀メダルを獲得した村尾三四郎選手(23)。幼い頃から自分より強敵に挑み続け、「本物の強さ」を追い求めてきた男が、頂まであと一歩に迫った。(蛭川裕太)

 決勝の相手は、世界ランキング1位で東京五輪金メダリストのジョージアの選手。技ありでリードを奪ったものの追いつかれ、最後は一本負けを喫した。

 「目指してきた金メダルを取れず、本当に悔しさが残ります」。涙をこらえ、言葉を振り絞った。

 日本人の父と米国人の母を持つ。「生粋の日本人に育つように」と名付けられた。体操やラグビー、相撲にも取り組み、体の柔らかさや強さを養った。

 5歳の時に入った柔道クラブは、強豪の筑波大(茨城県)の道場が練習場所だった。教わったのは、しっかりと組んで投げる正統派の柔道。「今の自分につながっている」と感謝する。

 指導した元世界選手権覇者の岡田弘隆さん(57)は「技に入るタイミングに天性の勘があって、教えなくても自然とできた」と振り返る。何より驚かされたのが、意識の高さだった。

 練習前は自主的にランニングに取り組んだ。6年になると、中学生と稽古しても満足せず、「強くなりたい」と大学生の女子選手と毎日のように組み合った。

 中学進学を前に、全国の強豪校を自ら見て回った。「一番厳しい練習をしている」という理由で、兵庫県姫路市の市立灘中に進む。柔道ノートには「俺は最強だ」と書き、出稽古で社会人選手に挑んだ。

 「五輪に出る」。その夢をかなえるため、「世界を目指そう」と誘われた神奈川の桐蔭学園高に進学。強豪の東海大や国士舘大に出向き、世界の舞台で戦う選手との稽古で力をつけた。

 東京五輪の代表を逃し、「近いようで遠い」と感じていた大舞台。自ら「殻を破った」とターニングポイントに挙げるのが2022年、団体戦で争う全日本学生優勝大会の決勝だった。

 東海大のエースとして、国士舘大の斉藤 たつる選手(22)(100キロ超級日本代表)と対戦。16分超の熱戦の末、80キロほど重い相手を抑え込んで一本勝ち。「勝ち筋が見えない試合を勝てた」と手応えを感じた。

 胸に刻む言葉は「Be Real」。自分では「本物になる」という意味に解釈している。ボクシング元ヘビー級王者のマイク・タイソンさん(米国)が好んで使った言葉で、「なんとなく勝つのは嫌だ。本物になりたいと思ってきた」。

 優れた柔道家をモデルにした小説の主人公の名前から、「昭和の三四郎」と呼ばれた岡野功さん(80)は1964年の東京五輪で、「平成の三四郎」の異名をとった古賀稔彦さん(故人)は92年のバルセロナ五輪で、それぞれ頂点に立った。

 同じ偉業の達成まで目前に迫ったが、わずかに及ばなかった。「4年後に借りを返したい」。次のロサンゼルス五輪でリベンジを果たしてみせる。

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