ノーミスの岡慎之助が新王座、橋本大輝との「二枚看板」に…「体操ニッポン」黄金期復活の兆し
読売新聞 / 2024年8月1日 13時43分
31日に行われたパリ五輪の体操の男子個人総合決勝は、岡慎之助(徳洲会)が頂点に立ち、この種目で日本人6人目となる快挙を達成した。予選2位通過で、決勝も大きなミスを出さず、6種目合計で86・832点を挙げた。岡は29日の団体総合に続いて今大会2冠に輝いた。個人総合で日本勢の優勝は4大会連続となる。中国選手が2位と3位に入り、連覇を狙った橋本大輝(セントラルスポーツ)は、あん馬の落下が響いて6位だった。
僅差の戦いは最終種目の鉄棒に入っていた。演技直前の岡の脳裏に橋本の言葉がよみがえる。「(橋本は)最初の種目から『自信を持って、胸を張って演技しろ』と声をかけてくれました。それが力になりました」。結果は上々。既に優勝争いから脱落していた橋本が派手なしぐさで喜んだ。
20歳の岡が新王者の座を射止めたことで、橋本に頼りがちだった日本は「二枚看板」に生まれ変わった。
予選は、岡が2位通過で橋本が3位通過。持ち点なしの決勝で、岡は「橋本選手に勝てば、絶対に優勝すると思った」。
橋本がゆかで高得点をたたき出し、あん馬で落下し、起伏の激しい出だしとなる中で、岡は「とにかくミスをしない。挑戦者として演技しよう」と自然体を意識した。全選手の中で最高点を出した種目はないが、致命傷となる失敗もなく、辛抱強く試合を進めた。優勝決定の直後、橋本と抱き合って跳びはねた。
体操ニッポンが1960年ローマ大会から五輪の団体総合5連覇を達成した当時、国内の代表争いがチームのレベルアップにつながった。かつて、鉄棒の「月面宙返り」で知られる塚原光男さんは「代表に入った瞬間、『これで五輪の金メダルがもらえる』と思ったもんだよ」と話していた。
岡は不振にあえいだ橋本を念頭に、「(絶好調を指す)マックスの演技で勝負できていない」と振り返った。ライバル関係は続く。これが、再び目指す黄金期の第一歩かもしれない。(大舘司)
泣きはらした橋本「しんどかった」
連覇を逃した橋本は、岡の金を喜び合った後、突っ伏して泣いた。5月に負傷して今大会を迎え、「体力が戻るのか不安を抱えながら、この練習で合っているのか自問自答した。しんどかった」と明かした。万全ではない中で、団体総合決勝では正念場でエースの仕事ぶり。種目別決勝に残れず、今大会を終え「まだ挑戦できる。新しい自分を出せるようにしていきたい」。泣きはらした顔で誓った。
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