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「沖縄の経済はコロナ禍から順調に回復、主力産業である観光業の発展に貢献したい」…琉球銀行・島袋健頭取

読売新聞 / 2024年8月2日 11時19分

琉球銀行の島袋頭取(那覇市で)

 コロナ禍が明けて経済活動が再開して1年がたった。観光が主要な産業である沖縄県もにぎわいを取り戻している。地元経済の現状と、金利がある世界の中での地方銀行の経営について、琉球銀行の島袋健頭取に話を聞いた。(聞き手・中西瑛)

国内客、2019年と同じ水準に回復

 ――沖縄の経済について。

 「コロナ禍から順調に回復している。沖縄県の主力産業は観光だ。海外からの人流も活発になり、観光収入を基に経済は緩やかに拡大を続けている。円安で(割高になった)海外に行けない方々が沖縄に来ている。国内客は2019年と同じ水準に戻ったのではないか。ただ、昨年まであった全国旅行支援が打ち切りになり、宿泊料金は高くなった。物価高もある。今後、国内客がどうなるかというところはみていかないといけない。

 海外からの訪日客は、コロナ禍前には戻っていない。航空会社は地上業務の人手が不足しており、海外から沖縄に乗り入れができない会社もある。円安もあって欧米人は増えたように思うが、中国人もあまり見ない。

 銀行として観光業の発展に貢献したい。県北部では、沖縄 ちゅら海水族館が観光地の中心だが、( 今帰仁 なきじん村の)『ジャングリア』というテーマパークができることで、滞在日数が増え、目玉になる。企画している(マーケティング企業の)刀は実績があり、期待している。融資を通じて開発を手助けしたい」

 ――経営環境について。

 「逆風から追い風の変わり目にあり、変化に応じた体制の整備が必要だ。金利のある世界を見据え、コンサルやカードビジネスに力を入れてきた。(金融サービスに関連した)役務利益はしっかりしてきた。今後は、預金や貸し出しが大事になるので、重視したい。組織が若くなり、支店で働く行員の平均年齢は30歳を切った。金利がある世界を知らない行員も多いので、人材育成にも力をいれる。

 (官民が連携して行政サービスを提供する)PPPやPFIの分野もやっていく。自治体行政のニーズはある。県外の業者だけでなく、地元の企業と参画できれば、役に立つのではないか。アセットマネジメントの会社も作って、都市づくりに参加したい」

 ――沖縄銀行との連携は。

 「いくつかの分野で進めている。たとえば、相続手続きの共通化がある。相続をする時に、両行と取引があれば、別々に対応しなければならない。どちらかに手続きして済むようにすれば、負担は減る。県内のほかの金融機関も相乗りしてきた。ワンストップの手続きだ。

 話し合いが難しいところもあるが、できるところでは連携したい。 島嶼 とうしょ県なので、コストもかかる。競争しない分野は手を組みたい。現金輸送では、沖縄海邦銀行と連携している」

応接室など、相談業務に合わせ店舗づくり

 ――デジタル化と店舗戦略について。

 「他県と比べて、来店客は多いが、この5年で4分の1くらい減った。デジタルやインターネットバンキングで対応してもらっている。事務的な手続きは、アプリやネットでもできる。

 店に来るお客様は、相談や困りごとがある場合だ。応接室など、相談業務に合わせた店舗づくりを進めている。資産運用や相続、コンサルティングの対応にも力を入れたい。既存店でもほかのお客様に聞こえない部屋を用意する。画面を大きくして専門的にリモート相談ができるブースも作った。外国為替送金業務というのは意外と専門的で、窓口で対応をしていると時間がかかってしまう。

 (那覇市にある)本社ビルには、上層階に三菱地所グループが運営するホテルを入れる予定だ。観光立県の銀行として、象徴的になるのではないか」

 ――金利がある世界では何が必要か。

 「バランスシートをどう考えるか。原資となる預金をどうやって集めるか。

 お客様はどういった反応を示しているか。4月に約800の顧客にアンケートを取った。だいたい6割のお客様は金利上昇を許容できると答えた。ただ、急激な上昇は困るとみているようだ。このうち、2割は金利を上げても問題ない。残り4割は、こういう情勢だから許容できると考えている。一方、価格転嫁ができない、人員確保が難しいお客様は、利払いの負担が増えてしまう。これが3割くらい。

 まずは、金利がある世界について丁寧にお客様に説明したい。今持っている返済計画がどう変わってくるか。動きを見てもらって、事前に話すことが大事だと思う。県内の銀行では、いち早く金利を上げている。他行と横並びだが、店頭でプラスアルファを乗っける。それで、お金を預けてもらえるかということをやっている。

 新しいNISA(少額投資非課税制度)で、資産形成も注目されている」

◆島袋健氏(しまぶくろ・けん) 1987年明治大政経卒、琉球銀行入行。代表取締役専務を経て、2024年4月から頭取。沖縄県出身。中学校から大学までの10年間、バスケットボールにのめり込んだ。留学先に強豪の米イリノイ州立大を選んだ。今も仕事の合間に、ユーチューブで母校の試合を観戦する。

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