地元のレオン・マルシャン3冠達成、バタフライ優勝の2時間後に平泳ぎでも「金」
読売新聞 / 2024年8月1日 22時53分
7月31日に行われた男子200メートル平泳ぎ決勝で、初出場の花車優(イトマン東進)が2分8秒79の5位、2大会ぶり出場の渡辺一平(トヨタ自動車)が2分8秒83の6位だった。レオン・マルシャン(仏)がこの種目と200メートルバタフライを制し、400メートル個人メドレーと合わせて今大会3冠を達成した。
レース前に名前が紹介されただけで、客席を埋めた地元ファンの歓声が地鳴りのように響いた。この日、二つの五輪新で3冠目となった22歳のマルシャンは「観客の熱狂が力をくれた」と感謝した。
200メートルバタフライ決勝は、残り50メートルの折り返しで世界記録保持者クリシュトフ・ミラク(ハンガリー)との差を一気に詰め、ゴール手前で逆転した。表彰式を挟み、約2時間後には200メートル平泳ぎ決勝のスタート台へ。世界記録を上回るペースで最後のターンに入り、後続に体一つ分ほどの差をつけて圧勝した。
身長は1メートル90に迫り、水泳のセンスは、競泳の五輪選手だった両親から譲り受けた。平泳ぎは高い技術力が必要と言われ、世界大会でバタフライと両立する選手は少ない。史上初めて同一の五輪で両種目を制し、一日で歴史を切り開いた。
複数のレースをこなせる体力、注目を集める中でも動じない精神力も備える。コーチは、五輪史上最多となる計23個の金を獲得したマイケル・フェルプス(米)を指導したボブ・ボウマン氏。「怪物」の系譜を継ぐ次世代のスターは「(バタフライと平泳ぎでトップを目指すことを)みんなには無理だと言われた。コーチが『やろう』と言ってくれてうれしかったし、それで自信を持てた」。
すでに400メートル個人メドレーを五輪新で制しており、残りの個人種目は、200メートル個人メドレー。「全てを楽しみながら、もう一度集中したい」。パリ五輪の競泳は、マルシャンを中心に回っている。
(森井智史)
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