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珠洲で被災した山下由起選手、練習場所の確保に苦労しながらインターハイへ…「連覇で応える」

読売新聞 / 2024年8月2日 5時0分

避難生活を乗り越えて連覇に挑む山下選手(6月、金沢市で)=細野登撮影

 能登半島地震で被災した石川県珠洲市の飯田高3年山下 由起 よしき選手(17)が4日、開催中の全国高校総体(インターハイ=読売新聞社共催)の重量挙げ男子89キロ級で連覇に挑む。避難生活で練習ができない困難もあったが、「支えてくれた人に結果で応えたい」と奮い立つ。(成島翼、饒波あゆみ)

 「海から離れろ」

 元日午後4時6分、自宅から4キロほどの漁港で友人と釣り中、大きな揺れを感じた。スマートフォンのLINEには津波の危険を知らせる姉のメッセージが届き、その4分後には本震に襲われ、高台へ逃げた。

 道路が陥没し、何とか自宅に戻れたのは翌日の誕生日。家族は無事だったが、部屋の中は割れた食器などが散乱し、これまで獲得した数々のトロフィーは棚から落ちて無残にも壊れていた。車中泊、金沢市への避難を余儀なくされた。

 4人きょうだいの末っ子で、地元で指導していた浅田久美監督(61)が母と職場の同僚だった縁から、6歳の時に兄、姉と一緒に重量挙げを始めた。中学まで相撲との掛け持ちだったが、「バーベルを挙げた時、体の軸と重りが一体になる感覚が自分に合う」と高校からは重量挙げに専念。2年生で高校総体を制覇するなど順調に成績を伸ばしてきた。だが、地震が練習環境を一変させた。

 いつもの練習場は3月上旬まで、復旧支援の自治体職員の宿泊場所となった。福井、群馬県の高校の協力も得て何とかバーベルを握り続けたが、珠洲に戻った後も野球部の更衣室で汗を流した。地震前は負担に感じる日もあったものの、「練習できるありがたさを知った。無駄にできない」と集中力が高まった。

 この7か月間、逆境をバネに3月の全国高校選抜大会を制して「野球部の更衣室に道具を運ぶトラックを出してくれるなど多くの人が協力してくれたおかげ」と感じた。5月にペルーで開かれた世界ユース選手権でも7位入賞し、浅田監督は「他の選手と練習法を情報交換しているようだ。脚力と柔軟性を備えて軸がぶれない」と評価する。

 4日の高校総体は長崎県諫早市が舞台。床のバーベルを一気に頭上へ持ち上げる「スナッチ」と、いったん胸まで上げて掲げる「クリーン&ジャーク」の合計自己ベストは291キロで、大会では300キロを目標とする。山下選手は「優勝して、珠洲の底力を見せつける」と誓う。

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