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トヨタ行政処分 甘い対応で不正の把握遅れた

読売新聞 / 2024年8月2日 5時0分

 日本の産業界を代表するトヨタ自動車が、法令への理解が浅いようでは困る。日本車への信頼低下を招かぬよう、率先して再発防止策に取り組まねばならない。

 国土交通省は、車の量産に必要な認証「型式指定」を巡り、トヨタの「RAV4」や「ハリアー」など7車種で、新たな不正行為を確認したと発表した。その上で、道路運送車両法に基づき、再発防止を求める是正命令を出した。

 トヨタは7月5日、すでに公表していた車種以外に不正はないとする社内調査の結果を発表していた。しかし、その後の国交省の立ち入り検査で不正は計14車種に拡大した。トヨタ本体が是正命令を受けるのは初めてだという。

 型式指定は、車の販売前に、安全性能などが基準を満たしているかを、国が審査する制度だ。指定を受ければ、メーカー側が適正な試験を行うことを前提に、国による1台ごとの検査を省ける。

 不正を許したトヨタ経営陣は、メーカー側に求められる責任の重さを自覚する必要がある。

 不正の手法は、ハンドルやドアフレームなどの部品について、量産車に搭載したものとは異なる仕様を使って試験していたケースが多い。トヨタは、いずれも安全性には問題がないとしている。

 性能が不足する車を偽装していたわけではないとしても、国が定めた手続きに従っていないとすれば、法令違反は明らかである。

 そもそも認証不正の問題は、早くからトヨタグループ内で続発していた。日野自動車で2022年3月に発覚し、昨年4月にはダイハツ工業でも明るみに出て、いずれも国から是正命令を受けた。

 今年1月には、トヨタの豊田章男会長は、トヨタ本体の不正は、「私の知っている限りない」と述べていた。だが、6月に不正が判明し、さらに今回、国交省の立ち入り検査で不正が拡大した。

 佐藤恒治社長は「起きている案件や事象に対する理解が甘かった。意図的な 隠蔽 いんぺいではない」と釈明したが、不正を見落とした原因を解明すべきである。

 世界的に新車開発のスピードは速くなり、競争が激化している。国の認証基準を上回る性能を求められるケースもあろう。豊田会長は開発現場の実情と認証制度にギャップがあると指摘している。

 認証手続きを巡るメーカー側の法令違反で、日本車の信頼が傷つくことになれば大きな損失だ。政府は、時代に即した認証制度の再構築を検討してほしい。

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