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SNS投資詐欺 手軽なもうけ話に潜む危険

読売新聞 / 2024年8月2日 5時0分

 SNSを悪用して、金をだまし取ろうとする犯罪グループが横行している。簡単にもうかるといった投資話には耳を貸さないことが大切だ。

 警察庁によると、SNSを通じて投資話を持ちかける「SNS型投資詐欺」が今年1~6月、全国で3570件確認された。前年の6倍の規模で、被害額は7倍超の506億円に上る。

 投資家や著名人になりすまして信用させる手口も目立っている。被害者の7割は50~70歳代で、老後の資金などが狙われた。

 多くはフェイスブックの広告からLINEに誘導される。犯人側と直接、投資に関するやり取りを重ね、最終的に投資金や手数料の名目で金銭をだまし取られる。

 犯人側にとって、SNSは正体を隠して相手に接触できる便利なツールだ。最近はインターネット上での商取引に慣れた人が多く、見知らぬ相手への送金に抵抗感が薄いことも被害拡大の要因ではないか。事態は深刻である。

 「絶対にもうかる」「あなただけに教えます」などの言葉が出てきた時は、詐欺を疑うべきだ。うまいもうけ話など存在しないことを肝に銘じてほしい。

 大阪を拠点にした2グループのSNS投資詐欺では、これまでに90人以上が逮捕されている。容疑者の大半は20歳代の若者だ。知人から「いい仕事がある」などと誘われて、グループに加わったケースが多かったという。

 ビルの一室に集まり、スマートフォンを使って、投資に関心のありそうな人にメッセージを送り続けていた。こうした役割は「打ち子」と呼ばれる。

 犯罪グループにとって「打ち子」は「捨て駒」にすぎない。詐欺は10年以下の懲役という重い罪である。わずかな報酬につられて、今後の人生を台無しにするのでは、割に合わないだろう。

 警察は、SNSでつながって離合集散を繰り返す犯罪集団を「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と呼び、警戒を強めている。従来の暴力団などとは異なる新しいタイプの組織だ。

 政府は、フェイスブックを運営するメタやLINEヤフーなどのSNS事業者に、広告審査の強化を求める詐欺被害防止策を打ち出している。事業者の責任は重大だ。対策の実効性が問われる。

 手口を巧妙化させているトクリュウに対処するには、警察やSNS事業者だけでなく、口座の開設や送金に関わる金融機関などとの連携も欠かせない。

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