1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

東京女子医大、理事長に資金還流か…第三者委員会報告書「金銭に強い執着」

読売新聞 / 2024年8月3日 5時0分

 東京女子医科大(東京都新宿区)で不正給与や子女枠推薦入試での寄付金受領などが判明した問題で、同大の第三者委員会は2日、岩本絹子理事長(77)側に大学資金が不正に還流した可能性があるとする調査報告書を公表した。推薦入試では寄付額で順位が逆転していたと指摘。職員給与を据え置くなか、自身の報酬を増額させた岩本氏を「金銭に対する強い執着心があった」と批判した。

「一強体制」

 「調査対象となった不正は、岩本氏に近い間柄の人物が主体的に実行した」。午後4時から、同大で記者会見した第三者委の山上秀明委員長(元最高検次長検事)は、岩本氏「一強体制」の下で浮上した一連の問題についてこう指摘した。

 報告書では、同大が2015年2月、岩本氏が経営した産婦人科クリニックの副院長の弟が代表を務める会社とコンサル契約を結び、同年4~5月に同社に計600万円を支払っていたことが明らかになった。

 岩本氏は事前に「会社を貸してほしい」と依頼して同社の代表印や預金通帳を借りていたほか、入金直後にコンサル契約を解除しており、第三者委は岩本氏側に「資金が還流した可能性が高い」と判断した。

二重給与認定

 今回の調査は、同窓会組織「至誠会」の元職員で岩本氏の側近だった女性に、同会から約2000万円の給与が不正に支払われた疑惑で、警視庁が同大を捜索したことが発端だった。

 元職員は、岩本氏が経営した産婦人科クリニックの元従業員で、15年に同会に就職。その後、同大に出向し、当時、副理事長だった岩本氏直轄の「経営統括部」の次長として、学内の人事や大学関連工事の発注業務などを担っていた。

 第三者委は、元職員に大学側と同会から「給与の二重払い」があったと認定。大学関連工事の元請け会社の一部は、経営統括部からの要求で、元職員が運営に関与した三つの会社に金銭を支払ったと証言したといい、「元職員が1億数千万円を受け取っていた可能性がある」とも指摘した。

面接前に300万円

 同大の医学部卒業生の昇格・採用で、至誠会への寄付額が評価されていた問題については、申請した延べ70人のうち、9割の63人が10万円以上を寄付していたことが明らかになった。

 第三者委は「(教員は)寄付しなければ、不利益になると考えていた」とし、「寄付を強いる制度で、公正かつ適切なものとは到底評価できない」とした。

 子女枠の推薦入試では、18年に実施した1回目と2回目の面接の間に、同会に10万円、大学に300万円の寄付をした受験生の親族がいたという。19年には同会が寄付額を点数化して加算しており、その結果、順位が入れ替わって、寄付の実績がない一部の受験生が大学への推薦を得られなかったこともあった。

 大学と至誠会が入試時期に受験生の親族から受領した寄付金は19~22年に計3520万円に上っていた。

 第三者委は、私学の入学に関して寄付金の収受を禁じた文部科学省の通知に「反する可能性がある」と指摘。「受験生の親族に対し、心理的・経済的負担を負わせた」と批判した。

経営判断誤り

 報告書では、岩本氏が19年に理事長就任後、開設したばかりの「小児集中治療室(PICU)」を閉鎖し、医師の大量退職を招いたことなどを「重大な経営判断の誤り」と厳しく批判した。「患者や地域医療に貢献することへの理解も関心も薄かった」とも言及した。

 さらに、岩本氏は教職員の人件費を低く据え置く一方、側近には過大な報酬を支払い、自身の報酬も毎年増額させたとし、「金銭やもうけに強い執着心を持っていた」と指摘した。

 第三者委は一連の問題が起きた原因について、岩本氏が異なる意見を持つ教職員を排除し、学長ら他の理事も「一強体制に取り込まれた」ことで、ガバナンス(組織統治)機能が「封殺された」と結論付けた。

 同大は2日、「組織の改善・改革に全身全霊で取り組んでまいります」とのコメントを発表した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください