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ハニヤ氏殺害、イランと「抵抗の枢軸」が連携して報復へ…イスラエル「脅威には重い代償を」

読売新聞 / 2024年8月3日 9時48分

 【テヘラン=吉形祐司】パレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ氏殺害を受け、イランと中東の親イラン勢力「抵抗の枢軸」は連携して、殺害を実行したとみるイスラエルに報復する方針だ。賓客の殺害を首都で許す失態をさらしたイランは、後に引けない状況で、報復の手段や時期などが焦点となる。

 「我々と『抵抗の枢軸』は、いかに報復するかを検討中だ。必ず実行する」

 イラン国軍のモハンマド・バゲリ参謀総長は1日、テヘランで行われたハニヤ氏の葬儀会場で、イランと「抵抗の枢軸」が共同で報復することを明らかにした。精鋭軍事組織「革命防衛隊」も7月31日の声明で、連携した報復の方針を示した。

 イスラエルはハニヤ氏殺害を認めていないが、イランなどはイスラエルの仕業だと主張。イランは今回、マスード・ペゼシュキアン大統領の就任宣誓式に招待したハニヤ氏が殺害され、最高指導者アリ・ハメネイ師は当日中に報復を「義務」とする声明を出した。ハメネイ師のウェブサイトのロゴには「 復讐 ふくしゅう 親愛なるハニヤ」の文字があしらわれ、報復に異論をはさむ余地のない状況となっている。

 イランは、ハニヤ氏やレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部を殺害された報復として、イスラエルの政府・軍の高官を狙い撃ちしたいとみられる。だが、中東の安全保障に詳しいイランの中東戦略研究所のジャワド・ヘイランニア研究員は「イランにその能力があるか疑問」と語り、国内からのミサイル、無人機による攻撃の可能性を挙げる。

 イランは過去、敵国イスラエルへの直接攻撃を避け、「抵抗の枢軸」という代理勢力を通じて攻撃してきた。しかし、今年4月、イランが初めてイスラエル本国をミサイルと無人機で攻撃し、この慣習は破られた。4月の攻撃では、ほぼすべてのミサイルや無人機を迎撃されたが、未使用の最新ミサイルもある。ヘイランニア氏はハニヤ氏殺害への報復が4月の攻撃以上に「イスラエルにとって重要な場所が標的になる」と指摘する。

 報復のタイミングについて、ヘイランニア氏は、「『抵抗の枢軸』との調整が必要で、少なくとも数日を要するが、長くはかからない」として、1~2週間か、早ければ1週間以内に実行されるとみる。4月の攻撃は、発端となったシリアのイラン大使館施設空爆から2週間後だった。

 ただ、報復がイスラエルの強力な反撃を招くのは必至だ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は7月31日の演説で「いかなるシナリオにも対応する準備はできている。脅威には重い代償を支払わせる」と表明している。

 イランにとって紛争拡大は、国際的な批判を浴びるリスクを伴う。核交渉の再建による制裁解除を目指すペゼシュキアン氏の国際協調路線にも影響する。外交的な損失は大きく、報復の連鎖への発展は避けたいのがイランの本音だ。

 ◆抵抗の枢軸=イランを後ろ盾に、パレスチナ自治区のイスラム主義組織ハマスを支持する中東各地の反米・反イスラエル武装組織の連合体。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラやイエメンの反政府武装勢力フーシのほか、イラクやシリアなどの武装組織も含まれる。

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