鹿児島県警 疑念が晴れたとは言いがたい
読売新聞 / 2024年8月3日 5時0分
鹿児島県警トップの本部長が組織内の不祥事を
不祥事が相次いでいる鹿児島県警が、これまでの調査結果をまとめた報告書を公表した。
県警内では、警察官による女子トイレの盗撮やストーカー事案などが次々と起きた。事件に関連して、最高幹部だった前生活安全部長も捜査情報を外部に漏らしたとして、逮捕・起訴されている。
特に前部長は法廷で、「県警トップの野川明輝本部長が警察官の不祥事を隠蔽しようとした」と主張し、大きな衝撃を与えた。
事実であれば、看過できない事態だ。県議会で大きな問題となったのは当然である。県警や警察庁には、事実関係を詳しく調べ、公表する責任があるはずだ。
にもかかわらず、今回の報告書では、本部長による隠蔽について、前部長が直接本部長に事件の報告をしていないことなどを理由に、疑惑を一蹴している。記述されているのは、個々の不祥事の概要や原因、再発防止策ばかりだ。
本部長と前部長の言い分には随所に隔たりがある。それらを丁寧に検証した形跡は
野川本部長は6月、「隠蔽を指示した事実はない」と述べた。県警や警察庁は、これで決着がついたと説明しているが、疑惑が晴れたと考えるなら大きな誤りだ。
前部長が隠蔽があったと訴える盗撮事件は、警察署の捜査が実際に一時中断された経緯がある。これについて報告書は、本部長の指示が現場の署幹部にうまく伝わらなかったためだとしている。
だから隠蔽ではない、という結論なのかもしれないが、県警トップの指示が現場に誤って伝わっていたのだとすれば、それ自体があってはならないことである。本部長の責任は極めて重い。
警察庁は、県警に担当者を派遣し、特別監察を実施した。それなら隠蔽について踏み込んで調べるべきだったのではないか。
この報告書の内容では、内部調査の限界を露呈したと言われても仕方ない。第三者による再調査も検討する必要があるだろう。
日本は治安が良く、警察への信頼度も高い。ところが近年、各地で警察官による不祥事が多発し、その信頼が揺らいでいる。
全国の警察でタガが緩んではいないか。警察庁は、組織の立て直しを図り、信頼回復に努めることが急務である。
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