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余りもの同士の急造コンビだった「ワタガシ」、コミュニケーション磨き五輪2大会連続メダルつかむ

読売新聞 / 2024年8月3日 11時49分

銅メダルを獲得して喜ぶ渡辺勇大選手(右)と東野有紗選手(2日、パリで)=武藤要撮影

 意思疎通の深化が、2大会連続の表彰台へとつながった。バドミントン混合ダブルスの渡辺 勇大 ゆうた選手(27)と東野有紗選手(28)は、ペアを結成して13年目。互いに弱い部分もさらけだし、補い合って銅メダルをつかんだ。(上田惇史)

 1ゲーム目を先取して迎えた2ゲーム目は、 拮抗 きっこうした展開が続いた。気持ちがはやる渡辺選手に東野選手が声をかける。「大丈夫。焦らないでいいよ」。渡辺選手は、その言葉で落ち着けた。最後は相手のミスを誘い、2人で倒れ込んで喜びを爆発させた。

 東京五輪では歴史に名を刻んだ。3位となり、この種目で史上初のメダルを日本にもたらした。2人の胸中は複雑だった。渡辺選手は「一定のうれしさと、やっぱり悔しさがあった」と振り返る。

 福島県の富岡第一中(当時)で、1学年違いの2人がペアを組んだのは2012年。インドネシアでの大会を控え、余りもの同士で組んだ急造コンビだった。

 東野選手は「話したこともなくて不安もあったが、スピード感が最初から合って、やりやすかった」と話す。大会本番で、いきなり3位に入った。

 東京五輪で男子ダブルスにも出場した渡辺選手は混合に絞り、プロに転向。東野選手は1人暮らしを始めた。環境は変わっても2人の関係は不変。ずっと「ゆうた君」「先輩」と呼び合う。

 「パリで金」を目標に掲げ、コートでの対話を大切にしてきた。練習からショットの方向などについて頻繁に意見を交換。試合中も「相手の動きが止まってきた」と気付いたことを伝え合って戦略を立てる。

 大きく変わったのは、「マイナスポイントを開示できるようになったこと」だと渡辺選手は言う。「今日は足がきつい」「このプレーはできない」と正直に伝え合うことで、悪いなりに勝つ方策を探った。

 長らくペアを組み、「あうんの呼吸」に頼りがちになるからこそ、「コミュニケーションを取り、補いながらベストパフォーマンスを出すことが大事」と東野選手は強調する。

 世界で活躍してきた2人にとっても、五輪の舞台は特別だった。これまで取ってきたメダルは、実家で保管する。唯一、手元に置いているのが東京のメダルだ。渡辺選手は「銅でも持っていたくなる五輪のパワーはすごい。なおさらパリで金を取りたくなる」。

 今回、2人の首にかけられたメダルの色は、求めていたものとは違った。それでも、東野選手は「感謝しかない。本当に、ゆうた君と出会って良かったなと思う」と語った。

 渡辺選手も「話し合ってやってきて良かった。もう一回表彰台にあがることができて本当にうれしい」と言った。 安堵 あんどと悔しさが入り交じった涙が、2人の頬を伝った。

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