リネールの試合は「指導」遅いと感じた、ホームアドバンテージか[中村兼三の目]
読売新聞 / 2024年8月3日 19時46分
パリ五輪の柔道は個人戦最終日の2日、男女各1階級が行われ、初出場で男子100キロ超級の斉藤立(JESグループ)は準決勝で敗れて臨んだ3位決定戦で、ウズベキスタン選手に一本負けしてメダルを逃した。地元フランスのテディ・リネールが2大会ぶり3度目の優勝を飾った。
[中村兼三の目]
男子100キロ超級の斉藤の対戦相手は、深いところでつり手を持たせないという対策を徹底していた。準決勝の相手の金民宗は、両手と足を使って斉藤の頭を動かして体力を使わせ、苦しくなったところで技を出して決めた。イメージ通りで、自信を持って斉藤と対戦していたのだろう。
斉藤は思ったようなつり手が持てない時にどうするかが課題だ。変則の組み手や徹底した対策など、海外での試合でないと経験できないこともいっぱいある。日頃の練習でそういった組み手を想定し、練習相手に頼んで厳しく再現してもらうなどの準備が大切になる。
金メダルのリネールは、自分の形になってからの威力ある技が見事だった。リネールの試合はホームアドバンテージなのか、指導が出るのが遅い印象があった。じっくりと戦い、金民宗が組み手を切りきれなかった瞬間を見逃さず、払い腰一発。少ない好機をものにするのは、百戦錬磨の経験があってこそだ。
個人戦全体として、自分の得意技を持っている選手が勝ちきったという印象だ。自分の形と技の練習を重ねることが大切だということが改めて示された大会だった。(アトランタ五輪金メダリスト)
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