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結婚・仕事・出産...。「20代後半、結婚や出産のプレッシャーがつらかった」小林早代子さんが小説で問う、男性に頼らない"友達同士で一生最強"な生き方

東京バーゲンマニア / 2024年8月3日 20時35分

結婚・仕事・出産...。「20代後半、結婚や出産のプレッシャーがつらかった」小林早代子さんが小説で問う、男性に頼らない"友達同士で一生最強"な生き方

20代後半、揃えばいつだって"最強"になれる女友達4人組。

半年前に失恋した1人の叫びをきっかけに、「いっそうちらで家族になろう」と始まったルームシェア。ところが、1人が「4人で赤ちゃんを育てたい」と言い始めて......?

そんな小説『たぶん私たち一生最強』(新潮社)を書いた、小林早代子さん。今年32歳になる小林さんは、「今思うと、20代後半は結婚や出産のプレッシャーがつらかった」と語ります。

作品を通して、同世代の読者と共有したい思いを聞きました。

現実でも"4人で仲良し"

小説に登場する4人は、個性的なファッションで男好きな漫画家の「花乃子」、ある"性の悩み"を持つバリキャリの「百合子」、同じく多忙で現実主義者の「澪」、薄給に悩み転職を考え中の「亜希」。

高校時代からの付き合いで、性格も職業もバラバラだけど、全員揃えばコントのような会話が始まってお祭り騒ぎに。小林さんにも、実際にこういう友達がいるといいます。

「高校時代からずっと、私含めて4人で仲良くしています。内容のない寸劇のような話を延々としてしまう、みたいなのは、現実の私たちの実情に近いです。
たとえば、飼い猫に『この子は賢いからニャーバード大学に入れるね~』『この子は脚が長いからニャっ本体育大学だね』なんて言い始めて、だんだん専攻の話になって『東洋哲学を学びたいと言われたら反対するか?』まで脱線......なんていう話で1時間半はいけます(笑)」

6年かけて執筆した作品ですが、その間には、3人の親友のうちの1人と実際にルームシェアをしたことも。

「この小説みたいに『一生一緒に暮らそう』ということではなく、『どうせお互い結婚するだろうから、その前に2年だけルームシェアしとくか~』みたいな感じでした。趣旨は違いましたが、その時の経験は作品の細部に活きていると思います」

「4人で赤ちゃんを育てるかどうか」という展開も、ルームシェア時代に感じたことが下敷きになっているそう。

「友達と住んでいる時、もしここにペットとか赤ちゃんとかがいたら、いよいよ家族みたいになっちゃいすぎるかもと思ったんですよ。
ただ、20代後半は、仕事、恋、推し活......と忙しすぎて。もし女性だけの家で子どもを産むなら、特に東京では、大人が4人くらいいないと、時間的にも経済的にもきつそうという実感がありました。そこで小説では、具体的に『4人でどう家族をやっていくか』に焦点を当ててみました。
子どもを産むとなると、どうしても1~2年はキャリアが止まりますよね。でも、4人で子育てするなら、キャリアを止めなくてもいい役割の人も現れるんじゃないでしょうか」

作中でも、特に百合子は、バリバリ仕事に生きる人物として描かれています。実際に百合子のようなタイプの友達に取材して、リアルな働き方や人生設計を織り込んだそうです。

ギリギリの気持ちだったあの頃

小林さん自身は、花乃子や亜希に似ていて、百合子や澪とは共通点が少ないそう。とはいえ、4人それぞれが抱える悩みや不安は、どれも小林さんにとって身近なものばかりです。

作品の根幹となったのが、20代後半に感じていた焦りやプレッシャーでした。

「友達がだんだん結婚や出産をするようになって、自分でも気づかないプレッシャーがすごくあったんですよね。『将来絶対結婚したい』と思っていなくても、出産する可能性を捨て切らない限りは、何歳までに産むなら何歳までに出会って何歳までに結婚して......という逆算をしなくてはいけないような。
当時は自由なつもりでいましたが、振り返ってみると、ギリギリの気持ちで生きていた気もするんです。自分が苦しんでいることを、自分で認めたくなかったのかもしれません」

現在はすでに結婚している小林さん。ある程度気持ちが落ち着いたからこそ、冷静に振り返れるようになったといいます。

「当時、『男性1人を夫にしなくても、女同士で家族をやっていける』という、新しい選択肢を書けたらいいなと思ったんです。
夫としても父親としても最高な男性に出会うって、かなり難しいんじゃないかと思うんですよね。しかも、最高の結婚相手ばかりを求めていると、『夫だけが人生をよりよくする手段だ』という考えにはまり込んでしまいそうですし。
正直言って、生身の男性の協力がないとできないことって生殖くらいだと思うんですよ。『子どもを産むかも』という意識があるから、プレッシャーに押しつぶされそうになる。そこさえクリアすれば、1人の男性とつがわなくても生きていけるのでは? と考えて、この小説になりました」

アダルトグッズで感じた"希望"

女友達と暮らすなら壁の一つになる、性の悩みを扱う章も。作中には、4人がアダルトグッズショップを訪れるシーンが登場します。小林さんも、友達と一緒に女性限定のアダルトグッズショップへ行った経験があるそう。

「説明してくださった店員さんが、男性経験がないとおっしゃっていたんですよ。それがすごく希望だなと思ったんです。『男性に頼らなくてもいいんだ』と、明るい気持ちになりました。
この章は読む人を選ぶかなと思ったんですが、特に女性の読者の方々から大きな反響をいただけて嬉しかったです」

インタビュー中、小林さんが繰り返し口に出した言葉が、「自由」と「希望」。「こうやって自由を求めるということは、きっと不自由だったんでしょうね~」と、照れ隠しのように笑います。

「同世代の読者の方々とは、20代後半の謎のプレッシャーを一緒に振り返って、『あの時期つらかったですよね~』と語り合いたいです(笑)。今まさに20代後半の方々には、この小説から、こんなに自由な選択ができるんだという希望を受け取ってもらえたらと思います。
4人以外の視点から書いている章もあり、『彼女たちのような選択は自分にはできないな』と思う方にも読んでいただきたいです。必ず4人のようになろう!というのがこの物語のメッセージではなく、結婚する生き方もできるし、しない生き方もできる。人生の選択肢が一つ増えるような、自由な気持ちになってもらえると嬉しいと思い、結末にもその思いが込められています」

生き方の選択肢が増えつつある現代。もしかしたら何年か後には、友達同士で"一生最強"な生き方がスタンダードになっているかも......? そんな想像が膨らむ一冊です。

東京バーゲンマニア編集部
Written by: 馬場レオン

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