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「佐渡金山」登録 実現を支えた日韓の関係改善

読売新聞 / 2024年8月4日 5時0分

 日本の重要な史跡の価値が国際的に認められたことは、喜ばしい。背景には、近年進んだ日韓関係の改善がある。

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が、新潟県佐渡市の「 佐渡島 さどの金山」を世界文化遺産に登録することを決めた。

 佐渡島の金山では19世紀半ばまで、江戸幕府の管理の下、手作業で鉱石の採掘や小判の製造が行われた。委員会は「世界で機械化が進んだ時代に、高度な手工業による技術を継続した、類を見ない事例」と評価した。

 世界遺産に登録されれば、金山の知名度が上がり、国内外から集客が期待できる。登録に向けて長年活動してきた地元の人々にとっても吉報だろう。

 登録の可否は、韓国の協力が得られるかどうかが焦点だった。

 日本の文化審議会は2021年、金山を国内推薦候補に選んだ。これに対し、文在寅政権下の韓国は、金山について「戦時中、朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害現場だ」と主張し、推薦に反発する談話を発表した。

 そうしたことから、日本政府も一時、推薦の見送りに傾いたが、自民党内の声を受け、22年に推薦を最終決定した。

 ユネスコの諮問機関は今年、金山について、「登録」に次ぐ評価にあたる「情報照会」を勧告した。その際、採掘が行われた時期の歴史すべてを説明、展示するよう求めた。韓国の反発に配慮した結果だと受け止められた。

 日韓は、どのような展示の内容にすべきかなど、対話を重ねた。韓国側が最終的に、金山の登録を容認したのは、日本側の対応を評価したことに加え、日韓の友好関係を大事にしたいという思いがあったためだろう。

 世界遺産登録が決まると、日本は佐渡市の博物館で、朝鮮半島出身者を含む鉱山労働者の生活実態を示す資料の公開を始めた。

 日本は強制労働を認めていないが、戦時中、朝鮮半島出身者が金山で働いていたのは事実だ。その点を含めて歴史を紹介するのは、不自然なことではなかろう。

 尹錫悦大統領の就任以降、日韓関係は改善が進んでいる。今回の世界遺産登録は、両国が良好な関係を保つことの重要性を再認識する機会となったのではないか。

 来年は日韓国交正常化から60年を迎える。歴史認識などを巡る意見の相違があっても、信頼関係に基づいて対話を重ねれば、乗り越えられる課題もあるはずだ。

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