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ペイントエリアの攻略に苦しんだバスケ女子日本…世界に警戒された大会[萩原美樹子さんの目]

読売新聞 / 2024年8月4日 22時18分

 パリオリンピックのバスケットボール女子で1次リーグC組の日本代表(世界ランキング9位)は4日、ベルギー代表(同6位)に58-85で敗れ、3連敗で決勝トーナメント進出はならなかった。日本人初のアメリカ女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)プレーヤーで、五輪でも活躍した元日本代表・萩原美樹子さんが解説する。

打ち急いで苦しいシュート

 見ていてつらい試合だった。日本は立ち上がりが重く、第1クオーターで7-19と出遅れた。オフェンスで、相手選手とのズレを作ってブロックの体勢を作らせないような「ワイドオープン」の状態を作れていないのに、苦しいシュートを打ってしまう場面が目立ち、頑張ろうという気持ちが、打ち急ぎにつながってしまったように思う。

 日本はペイントタッチが少なかった。この仕事をできるのが今のチームでは山本麻衣選手だ。シュート力があり、ペイントエリアに切り込んでのフィニッシュ能力も高い選手だけに、3日前のドイツ戦に続いての欠場が残念だった。ドライブが持ち味の宮崎早織選手も2得点。ここも警戒されていて、いい形でシュートが打てなかった。大会を通じて、相手にディフェンスをスイッチされた時に局面を打開することができなかった印象だ。

 今日の試合、ディフェンスは頑張ったと思う。特に第2クオーターの後半は、堅い守りから走って得点につなげる、日本らしい場面が見られた。しかし、大きな相手に対して、ペイントエリアを守るのに人数を割かなくてはならず、ベルギーのアウトサイドをノーマークの状況にしてしまった。相手はそれが分かっているので、1メートル92のエース、エマ・ミースマン選手にボールを持たせ、彼女はパスもできるので、そこから効率よく (さば)かれて多彩な攻撃を許した。

 それにしても、第4クオーターのベルギーはシュートの確率がぐっと上がった。外からの凄さをそんなに感じるタイプのチームではないのにしっかりとシュートを入れていた。出来過ぎかな、とも思うが、それだけ日本のアウトサイドの守りが手薄になったこと、それと、隣国から多くのファンが応援に来ている「ホームコート・アドバンテージ」も味方につけたのだろう。

「走り切るシューター軍団」の成否は

 日本は3連敗で1次リーグ敗退となり、やはりサイズがないと厳しいと思った。恩塚亨監督のもと、ガード陣を手厚くした「走り切るシューター軍団」をテーマにパリに臨んだ日本代表だが、その成果は50%くらいにとどまった印象だ。

 だが、世界が日本を放っておいてくれなくなったということも事実だ。東京オリンピックの前は、そんなに対策を立てなくても勝てるだろうと見られていたのが、東京で銀メダルを取って以降はしっかりと研究・対策をされ、日本の世界的な評価が上がってきたことは間違いない。

 きょうの試合でも、ベルギーのタイムアウトのタイミングはかなり早かった。日本が3点シュートを1本、2本入れたところで試合を止め、勢いに乗らせないように警戒をしていると感じた。それは今大会で日本が対戦したアメリカにも、ドイツにも感じたことだ。

はぎわら・みきこ 1970年福島市生まれ。10歳からバスケットを始める。県立福島女子高校(現・県立橘高校)卒業後、89年に共同石油(現ENEOS)入社。93年から4年連続日本リーグ得点王。96年アトランタ五輪代表で7位入賞(得点ランキング5位)、97~98年に日本人では初めてWNBAでプレー。99年に現役引退し、04年アテネ五輪で女子日本代表アシスタントコーチ。15年から日本バスケットボール協会女子ジュニア専任コーチとして、U19女子ワールドカップ4位入賞など。21年からWリーグ・東京羽田ヴィッキーズHC。

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