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涙の数だけ強くなった高山莉加、1階級上の相手から大金星「めちゃくちゃ怖かった」…柔道混合団体「銀」

読売新聞 / 2024年8月4日 21時43分

柔道混合団体決勝でフランスの選手(右)を攻める日本の高山莉加(3日、パリで)=関口寛人撮影

 パリオリンピックは3日、柔道混合団体が行われ、日本代表は決勝でフランスに敗れ、2大会連続の銀メダルだった。

 涙の数だけ強くなった。柔道混合団体で銀メダルを獲得した女子78キロ級の高山莉加選手(29)。個人戦で敗れた悔しさをぶつけ、自分よりはるかに大きい相手から大金星を挙げてチームに貢献した。(蛭川裕太)

 決勝のフランス戦。相手は今大会の1階級上の銅メダリストで、身長は10センチほど高く体重も大きく上回る。「めちゃくちゃ怖かった」。帯を持って持ち上げられ、場外に運ばれた。会場からは失笑も起きた。

 「技をかけて負けた方がいい」。再び持ち上げられそうになった瞬間、足を刈り、体を預けて畳にたたきつける。技ありを奪うと、会場は静まり返った。残り時間を必死に耐え続けた。

 小中学生の頃、宮崎県都城市から隣接する鹿児島県の道場に通った。200本の投げ込みをこなし、終わると大好きなおにぎりを頬張った。「道場一の泣き虫」で、指導する西郷昌隆さん(54)から言われた。「泣いた分だけ強くなれ」

 中学2年の時に全国8強入りしたが、鹿児島南高では寝技を操る先輩に転がされ、涙で畳をぬらした。3年になると寝技を磨き、「やればやるほどうまくなった」と武器にした。

 卒業後、数々のメダリストを輩出した三井住友海上に入ったが、五輪は遠い。東京大会で金メダルを取ったのは、高校の先輩の浜田 尚里 しょうり選手(33)だった。

 「自分には価値がない」。負ける度に落ち込み、涙をこぼした。「やめる」と何度口にしたかわからない。所属先の上野雅恵監督(45)に言われた。「こんなところで諦める人になってほしくない」

 踏みとどまり、何とかたどりついた五輪。個人戦は3位決定戦で完敗した。畳を降りると、涙があふれて止まらなかった。「手ぶらでは帰れない」。団体戦は素根 あきら選手(24)がケガをしていたこともあり、女子の最も重い階級を担い、ただ一人全4試合に出場した。

 小中学生の頃に通った道場には「 捲土 けんど重来」の文字が掲げられている。当時は意味を知らなかったが、今は自分にぴったりだと感じる。「銀色だけど、めちゃくちゃ輝いているメダルです」。流した涙と努力の結晶が、胸元で光っていた。

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