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ベネズエラ混乱 選挙を独裁継続に使うのか

読売新聞 / 2024年8月5日 5時0分

 南米ベネズエラで行われた大統領選で、反米左派のマドゥロ大統領が勝利を宣言した。野党陣営は選挙の不正を訴え、抗議デモでは多数の死傷者が出ている。

 周辺国との対立も深まり、南米情勢を不安定化させている。

 大統領選では、野党統一候補の元外交官ゴンサレス氏が事前の世論調査で大幅にリードしていたが、政権の影響下にある選管は、マドゥロ氏の勝利を発表した。

 各投票所の集計結果は明らかにされず、野党が投票所に派遣した監視員も閉め出されたという。

 政権は、ゴンサレス氏以外の有力な野党政治家の出馬は認めなかった。欧州連合(EU)の選挙監視団を受け入れると約束していたが、これも 反故 ほごにした。

 これでは、マドゥロ氏が当選するよう票が操作されたと、野党側が疑うのも無理はない。

 マドゥロ氏は「勝利」を主張するのであれば、票の詳細な集計結果を明らかにするべきだ。

 マドゥロ氏は、反米姿勢が際立ったチャベス前大統領の後継として、2013年に就任した。

 今回の大統領選では、チャベス氏以来、四半世紀ぶりとなる政権交代の是非が問われた。選挙後に全国に広がった抗議デモは、マドゥロ氏に対する国民の不満の強さの表れだろう。

 マドゥロ政権と対立する米国のブリンケン国務長官は、「結果は民意を反映していない」として懸念を示した。チリやアルゼンチンなど中南米の首脳も選挙結果に疑義を唱えた。

 日本政府は、自由で公正な選挙に基づく民主主義を尊重する立場から、「選挙プロセスの透明性の確保」を求めた。

 一方、中国とロシアはマドゥロ氏の「当選」に祝意を示した。米国の影響力が強い南米に位置し、世界一の原油埋蔵量を持つベネズエラと関係を深め、米国を 牽制 けんせいする狙いがあるのは明らかだ。

 ベネズエラは長年、石油収入に依存し、原油価格が下落した後もばらまき政策を続けた結果、財政が破綻した。野党弾圧などを理由に米国から経済制裁を受け、外貨不足とインフレが常態化した。

 経済苦と強権統治から逃れようと、すでに全人口の4分の1にあたる770万人以上がブラジルやコロンビア、米国などに逃れ、今後さらに増えるとみられる。

 選挙を専制体制の正当化に使う手法が横行すれば、民主主義の信頼は損なわれる。日本も無関心ではいられない。

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