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「内勤」が空き物件にカード送らせ、「外回り」が偽造免許証で受け取り…起訴された男「月50万円の固定給と説明された」

読売新聞 / 2024年8月5日 10時2分

 偽造した運転免許証でクレジットカードを契約し、そのカードで購入したスマートフォンを売却したとして、福岡地検が「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の複数の男を詐欺や偽造有印公文書行使罪などで起訴していたことがわかった。住所は空き物件に設定してカードを送らせ、受け取るなど巧妙な手口。グループは免許証を偽造する「内勤」とカードを受け取る「外回り」に分業するなど組織化されており、捜査当局は警戒を強めている。(丸山滉一)

 起訴されているのは、山口県山陽小野田市の建設作業員の男(21)、大阪市中央区の無職の男(31)ら6人。捜査当局は離合集散しながら多様な犯罪に関わるトクリュウとみている。

 起訴状などによると、建設作業員の男ら3人は昨年5月~今年3月頃、他人名義のクレジットカードを使って購入した端末など11点(計62万7780円)を含む60点を大阪市の買い取り店で偽造免許証を提示して売却した。無職の男ら別の3人は昨年4~5月、福岡市や福岡県久留米市のアパートで、配達員に偽造免許証を提示しスマホやキャッシュカードなどをだまし取ったとされる。

 検察側の冒頭陳述や供述調書などによると、グループは、架空の人物名と空き物件の住所、被告ら本人の顔写真を使って免許証を偽造し、その偽造免許証を提示してクレジットカードや銀行キャッシュカードを作っていた。カードは空き物件宛てに発送させ、郵便受けから不在連絡票を抜き取って配達業者に再配達を依頼。届けに来た配達員に接触して偽造免許証を示し、入手していた。

 空き物件の情報は、不動産情報サイトを検索して得ており、グループ内で秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で共有していた。

 グループは「内勤」と「外回り」で役割を分担。内勤は空き物件の検索や免許証の偽造、クレジットカードの契約などを担い、外回りは空き物件の下見やカードの受け取り、スマホの購入や売却を担当していた。

 当初は福岡を拠点にしていたが、昨年6月頃に大阪に移したとみられる。福岡県警が昨年5月、偽造免許証と不在連絡票を示して配達されたキャッシュカードをだまし取ろうとしたとして、受刑者の男(31)(懲役1年10月の実刑判決が確定)を詐欺未遂容疑で逮捕したのを端緒に摘発を進めた。今年4月に新設したトクリュウなどを取り締まる組織犯罪捜査課が全容解明を進めている。

「月50万円固定給」紹介され…被告供述

 福岡地裁で7月にあった建設作業員の男の公判では、加担した経緯や活動内容から「トクリュウ」の実態の一端が明らかになった。

 供述調書などによると、建設作業員の男は職を転々とし、借金がかさんでいた。昨年5月頃、友人に紹介された無職の男らと福岡市内で会い、「仕事」の内容を告げられた。無職の男らは「研修期間2か月間は月30万円、その後は月50万円の固定給」などと説明。建設作業員の男は偽名の使用を求められて「タケウチヒロキ」と名乗り、メンバーからも「ヒロキ」と呼ばれた。

 福岡で「外回り」として稼働し、空き物件を下見して情報を共有したり、空き物件で配達員から荷物を受け取ったりした。偽造免許証で作ったクレジットカードでiPhone(アイフォーン)などを2、3台ずつ購入し、買い取り店では一度に100万円前後で売却した。

 昨年6月以降は大阪で同様の行為を続けていたが、10月下旬にグループを離脱したという。

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