キャプテン翼・高橋陽一さんが見つめる「日本サッカーの未来」は…「選手は海外に出ているけど」
読売新聞 / 2024年8月6日 10時0分
人気サッカー漫画『キャプテン翼』の作者で、関東サッカーリーグ1部所属の「南葛SC」(東京都葛飾区)代表の高橋陽一さんと風間八宏・南葛SC監督が、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演した。近年は、日本人選手が欧州のビッグクラブで活躍する姿は珍しくなくなった。「現実」は「漫画」を追い越したのだろうか。番組MCの元日本代表・槙野智章さんが聞いた。
エムバペもジダンも見た「キャプ翼」
漫画やアニメの『キャプテン翼』を見て育ったサッカー選手は、本当に多い。「子どもの頃に見てましたという選手が多い。エムバペ選手とか、ラウル選手とか、ジダン選手とか」。高橋さんが挙げる名前は、いずれもサッカー史で語り継がれることになるだろう選手ばかりだ。
そこには国家も言語も関係ない。「日本とあまり変わりないというか、海外でも見ている子どもたちがいっぱいいるんだというのは実感できます」
登場するキャラクターの名前は言語圏で異なる場合が多い。メッシは過去、最も有名な日本人は「オリベル」だと語ったという。キャプテン翼をスペイン語に翻訳した際、大空翼はスペイン語圏の子どもたちになじみやすいようオリベルに「改名」された。
海外に輸出された「円陣」
遠藤航(リバプール)や冨安健洋(アーセナル)ら、日本人選手が欧州リーグで活躍する姿は当たり前になった。現実世界がキャプテン翼を追い越したとも言える。そういった日本サッカー界の発展を高橋さんはどのように見ているのだろうか。
「中田英寿選手がセリエAでオーバーヘッドキックを決めたり、現実が先に行ってるかもしれないなって感じる時も多いです。ヨーロッパで活躍する選手が多くなっていますが、僕の漫画の中では、まだそこまで多くの選手は海外に行っていない。(現実と漫画の)せめぎ合いみたいな感じです」
南葛SC監督の風間さんは、Jリーグが誕生するよりはるか前にドイツ(当時は西ドイツ)のクラブでプレーした「海外組」だ。当時と比べて「(海外移籍が)近くなったのは間違いない。クラブの外国人枠の制限がなくなったのも理由」と分析する。
ブラジルからやってきたロベルト本郷が大空翼たちを導いたように、サッカー後進国だった日本では欧州や南米のサッカーはお手本であり、学ぶべき対象だった。しかし、風間さんは近年の「逆転現象」も指摘する。
「僕らの時代は円陣を組んで、試合前に『さぁ、いくぞ』ってやってた。ドイツに行ったら何もやらないで、皆が勝手にウォーミングアップしてパッと試合に入る。『やっぱ、こういう人たちなんだな』と思っていたが、今は(海外チームも円陣を)やるでしょ。逆になってるところもある」
指導者の海外移籍に期待
風間さんはプロサッカー選手になる夢を中学生の頃から持ち続け、プロリーグがない日本ではなく、海外リーグを目指した。しかし、当時は海外サッカーの情報は皆無に等しかった。
「海外のサッカーは週1回だけですよ、見られるの」。風間さんが言う「週1回の海外サッカー」は、テレビ東京が制作していた「ダイヤモンドサッカー」。試合は前後半を2週に分けて放送していた。「ビデオもないから、見過ごしたら見られない。(前半を見逃して)いきなり後半が始まったところだと分からないでしょ」
さらに、1979年に日本で開催されたワールドユース選手権での経験が、海外志向を決定づけた。「マラドーナ見ちゃったから」。風間さんは高校3年生で代表に選出され、大会に参加した。日本代表は1次リーグで敗退し、マラドーナを擁するアルゼンチンが優勝した。
風間さんは大学卒業後にドイツのクラブと契約。その時のドイツ行きを手助けしてくれたのが、当時ケルンの大学に留学していた田嶋幸三さん(前・日本サッカー協会会長)。
アジアから来た若者へのドイツ人の反応は「『日本人が何しに来たの?』って空気。『卓球しに来たの?』みたいに言う人もいるわけ」と冷淡だったという。
同じ頃、キャプテン翼はテレビアニメがスタートし、子どもたちのサッカー人気をけん引した。そんなキャプテン翼は日本サッカー界の「少し未来」を描き続けてきた。高橋さんが予想する日本サッカーの未来とは?
「ワールドカップに出るのが無理だと言われていた時代から、今では出るのが当たり前な時代になりました。選手は海外に出ていますけど、監督という部分でまだ誰もやってない。そういう人材も出てきてほしいという思いはあります」
プロフィル
高橋陽一(たかはし・よういち)
漫画家。南葛SC代表。代表作『キャプテン翼』は1980年に「週刊少年ジャンプ」の読み切り作品として掲載され、翌年から連載がスタート。シリーズ累計世界9000万部を発行した。40年以上続いた連載は4月に終了した。1960年生まれ。東京都葛飾区出身。
風間八宏(かざま・やひろ)
南葛SC監督兼テクニカルダイレクター。1984~89年ドイツでプレーし、マツダSC(現・サンフレッチェ広島)に入団。引退後は川崎フロンターレや名古屋グランパスの監督を歴任した。1961年生まれ。静岡県出身。
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