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スケボー女子パーク、かつて人生を「変えてもらった」アイドルが見つめるもの…清司麗菜の#skatelife

読売新聞 / 2024年8月6日 12時0分

 パリオリンピックは、熱気は増すばかり。スケボーアイドルことNGT48の清司麗菜さんが注目するのはスケートボード・パーク女子。「仲間」が世界最高の舞台を戦う今、彼女が思うこととは――。「清司麗菜の#SkateLife~continuity180~」の第19回です。

 パリオリンピックは間もなく、スケートボードのパークが始まる。私がスケートボードを始めたきっかけは、東京オリンピックの「パーク」の方だ。

 普段からこの連載でもスケートボード・パークとかパークとか言っているから混同されるかもしれないけれど、普段から口にしているパークっていうのはいわゆる「スケボー場」のこと。公園とかで滑ることができる場所のことだ。

 種目としてのパークは、おわん形のコースで選手が技を競い合うというもの。東京オリンピックでは、女子の 四十住 (よそずみ)さくら選手が金メダルを取った種目だ。

 オリンピックにはたくさんの競技・種目があるけれど、パーク女子はメダル獲得が「超」有力視されている種目だ。私の「超個人的な事情」も踏まえて紹介したい。

「グラインドマスター」

 圧倒的な力を誇ってきたのが (ひらき) 心那 (ここな)選手。東京オリンピックでは12歳11か月の日本史上最年少でメダルを獲得した「天才」だ。今回の代表選考レースでは早々に代表権を獲得した。

 以前、スケートボードコーチの平野英樹さんが「難しいことをやっていないようだけどかなりハイレベル。どのパークでも順応する技術が高い」と開選手について語っていた。実際に予選を見ているとその言葉の通り。私が見ても「なんでこんなに得点が高いのだろう」と思うこともあったけれど、グラインドマスターと呼ばれるほどの高い技術を生かしてずっと勝ち続けてきた。金メダル候補の筆頭――だと思う。

「7歳下の鬼姫」

 草木ひなの選手は、個人的に思い入れのある選手の一人だ。彼女が新潟県村上市の村上市スケートパークで行われた大会に出場したときに、声をかけさせてもらってから、何回かお会いして、私のインスタライブに遊びに来てくれたこともあった。

 パリ五輪予選の後半戦を迎える頃にパークでばったりお会いした時、直接、応援の言葉を伝えることができてうれしかったなぁ。

 彼女は今、16歳。だから私の7歳下になるけど、すごく大人っぽくて、しっかりしている。でも、滑りは荒々しく、猛スピードでコースを駆ける。その持ち味を生かして本番でも華々しいエアを見せてほしい。ちなみに、ふだんのニコニコした姿からは想像がつかないけれど、彼女は「鬼姫」って呼ばれている。

きさくな四十住

 東京オリンピックの金メダリスト・四十住さくら選手は新潟のイベントで一緒に滑ってくれたこともある。その日はスケートボードで滑るっていうお仕事だったのだけれど、まさかの金メダリストと一緒に滑るという事態にガチガチに緊張していた。でも、そんな私に笑顔で「全然、緊張しなくていいですよ」と気さくに話しかけてくれる四十住選手。心が救われた。

五輪候補にサインをねだられた過去

 最後まで五輪の代表争いを繰り広げていた長谷川瑞穂選手。五輪の最終予選まで日本代表の圏内にいて、世界最高峰の賞金大会「XGames」のバーチカル部門でも入賞するトップスケーターだ。実は、彼女とは村上市スケートパークで1度会ったことがあって、なぜかサインを求められたこともあって、ヘルメットにサインしたことがある。たぶん、パークに私の写真が飾ってあったからだと思うけれど、今となっては私がサインを求める立場かな……(笑)

 あと、どうしてもみなさんに知ってもらいたいことがある。それは、五輪の出場権をめぐってドラマのような熱い展開があったってこと。

 パリ五輪最終予選が行われた時、開選手は出場を決めていたから、切符は残り「2」。これを、四十住選手、草木選手、長谷川選手が争っていた。

 そんな中、四十住選手が惜しくも準決勝で敗退してしまった。日本人選手4番手で最終戦を迎えた長谷川選手の順位次第でパリの出場権利が大きく変わってくるという展開に。

そして決勝を前にして、あるドラマがあった。四十住選手の「親友」であり「最高のライバル」であるイギリスのスカイ・ブラウン選手がSNSに「今日のファイナルはさくらのために」と投稿。スカイ・ブラウン選手が2位に入ったことで、長谷川選手を合計ポイントで上回った四十住選手が最後の切符を手にした。自分だけでなく、親友とオリンピックの舞台に立ちたいという気持ちを背負って滑り、表彰台に立ったスカイ・ブラウン選手は本当にかっこよかった。13歳という年齢で最後まで食い下がった長谷川選手にも拍手を送りたい。

スケートボードが教えてくれたこと

 私がスケートボードに出会って、もうすぐ3年がたつ。あの時、テレビの向こうで見た風景は、もう間もなく始まる。あのころから年齢を重ねた私は、彼女たちを見た時にどう思うのかな。

 スケートボードを始めた時、「プロライセンスを取る!」とか、「パリオリンピックに出る!」とか言っていた。結局、プロライセンスも取っていないし、オリンピックにも出ていない。

 アイドルは表に出る仕事だ。いろんな人に応援してもらわなくちゃ、生きていけない。いろんな人の期待に応えていかなくちゃ、暮らしていけない。だから、いつも少し背伸びをする。私は、私を応援してくれる人たちの期待に応える責任がある。

 だけど、スケートボードと出合って、私は初めて応援することを知った。

 スケートボードに乗れば、私は何者でもなくなった。一人のガールズスケーターとして、手に汗握り、誰かを思うことを知った。誰かが転倒すれば一緒に顔をしかめ、誰かのトリックが成功すれば一緒に喜んだ。例え、何者にもなれなくたって、すべてのスケートボーダーの「味方」でいることはできる。

 誰かの期待を背負うアイドルと、誰かを支える側に立つスケートボード。両極端のこの二つは、人生に深みを与えてくれた。

 オリンピックのスケートボード・パークが間もなく、始まる。そしてその幕が閉じた時に、私は何を思うんだろう。ただ、今はその時がくるのを待つことしかできない。

プロフィル

清司麗菜(せいじ・れいな)

 NGT48の1期生。埼玉県出身。「バイトAKB」としてアイドルキャリアをスタートさせ、2016年にNGT48に加入。全国スケートボード施設連絡協議会アンバサダー。趣味はスケボーのほか、歌うこと、筋トレ。Instagramは「@reinaseiji」、X(旧Twitter)は「@official_seiji」。

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