イスラエルのバラク元首相、戦闘の即時終結訴え…パレスチナと共存が「実現可能な唯一の解決策」
読売新聞 / 2024年8月6日 5時0分
【エルサレム=福島利之】イスラエルのエフド・バラク元首相(82)が読売新聞と会見した。パレスチナ自治区ガザで、約10か月続く戦闘について「(軍や政治)指導層は戦略がなく、戦争の目的は全く達成されていない」と述べ、ベンヤミン・ネタニヤフ首相らを批判し、戦闘を「即座に終結させるべきだ」と訴えた。会見は7月下旬、中部テルアビブで行った。
バラク氏は、パレスチナとの和平を重視する左派の重鎮で、1999年から2001年まで首相を務めた。労働党最後の首相だ。
軍参謀総長の経歴もあるバラク氏は、イスラエルの戦争は、多数の予備役動員が必要なため数週間程度で終わらせるのが「通常だ」と指摘し「ガザに長期間、軍を駐留させることはイスラエルの国益に反する」とも語った。
イスラエル北部のレバノン国境地帯で続くイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘については「ガザで停戦すれば戦闘は止まる可能性が高い。双方は戦争を望んでいない」と分析した。
バラク氏は1999年の総選挙で、和平交渉を停滞させていた右派のネタニヤフ首相(当時)を破って首相に就任し、パレスチナとの和平交渉を再開させた。2000年にはパレスチナ側との原則合意間近まで迫ったことがある。
会見でバラク氏は「パレスチナ問題が消滅しないのは明らかで、長期的にこの問題を解決する方策を考えなくてはならない」と述べた。イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決が実現可能な唯一の解決策だ」とも強調した。
ガザでの戦闘は昨年10月、イスラム主義組織ハマスがイスラエルに越境攻撃したのを機に始まった。バラク氏はイスラエル社会が現在、ハマスに対する
一方で、バラク氏は「私は平和主義者でなく現実主義者だ。常に隣人(パレスチナ人)を警戒し、戦う準備をしなくてはならない」と述べ、軍人出身らしい顔ものぞかせた。
バラク氏は軍特殊部隊の一員として、1972年のミュンヘン五輪でイスラエル選手団11人の殺害を受けたパレスチナゲリラの掃討作戦に従事した経験がある。特に73年にレバノンの首都ベイルートに潜入し、金髪のカツラで女装し、ゲリラを殺害した作戦は有名だ。
パリ五輪でイスラエル選手団へのテロが懸念されていることについて、バラク氏は「歴史が繰り返さないことを願う」と述べた。
労働党は1948年の建国から77年まで一貫して首相を輩出したが、前回2022年の選挙では史上最低の4議席にとどまっている。
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