物価上振れリスク高まった場合も「利上げ判断の理由に」…6月の日銀決定会合で認識共有
読売新聞 / 2024年8月6日 1時26分
日本銀行は5日公表した6月13、14日の金融政策決定会合の議事要旨で、植田和男総裁以下9人の政策委員が、物価見通しが上振れするリスクが高まった場合も「利上げ判断の理由になる」との認識を共有していたことが明らかになった。複数の委員から円安が上振れリスクにつながるとの指摘もあり、7月以降の利上げ判断に向けた議論が進んでいた様子が浮かび上がる。
6月の決定会合は、円相場が1ドル=160円手前まで円安・ドル高方向に進んだ状況で開かれた。日銀は政策金利である短期金利の誘導目標を0~0・1%程度に据え置くことを決めたが、複数の委員は追加利上げの検討の必要性を主張していた。
ある委員は、「円安で物価が上振れする可能性がある」とし、上振れリスクを管理する観点から「金融緩和の度合いを更に調節する検討も必要」との意見を述べた。別の委員も上振れリスクが出てきているとの見解を示した上で、「遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要」と指摘した。
また、円安と金融政策の関係についても議論となった。ある委員は、円安を「物価見通しの上振れリスクを高める要因」と断じ、「物価の上振れリスクが顕在化した際に生じ得る損失も高まっている」と訴えた。
一方、別の委員は、為替は物価に影響を及ぼす要因の一つであるとしながらも、「金融政策は為替の短期的な変動に左右されるべきではない」と主張した。
このほか、日銀は6月の決定会合で、月6兆円程度としている国債の買い入れの減額方針を決めた。減額方針について多くの委員は、「中期的な計画を定めることで、国債買い入れを巡る予見可能性を高めることが必要」との考えで一致。ある委員は「市場との対話を含め、時間をかけて慎重に検討する必要がある」との見解を示した。
日銀は7月30、31日の決定会合で、政策金利を0・25%程度へと引き上げることや、国債の買い入れ額を2026年1~3月に月3兆円程度へ半減させる計画を決めた。追加利上げを決めた背景として、記者会見で植田氏は「物価見通しに対して現実の物価が上振れするという、リスクとしてはかなり大きなものがある」と説明した。
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