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言葉が聞き分けられるトド、意味も連想できる可能性が…「ごろん」+「お回り」でくるんとポーズ

読売新聞 / 2024年8月7日 14時15分

人の言葉がわかるトドとして知られる「ハマ」。新たな能力が明らかに(兵庫県豊岡市で)

 人の言葉を聞き分けるトドがいることで知られる「城崎マリンワールド」(兵庫県豊岡市)飼育員の佐々木雅大さん(34)らが、言葉の理解とトドの行動の新たな関係性について明らかにした論文を米国のオンライン学術誌で発表した。二つの単語を組み合わせ、別のものを連想できる能力を持つ可能性などを指摘している。(熊谷暢聡)

 施設で飼育するトドの「ハマ」(雌)は、「ボイスサイン」と呼ばれる言葉の指示だけで、50種類の動きを披露することができる。

 佐々木さんらは、ハマに2種類のボイスサインを連続して出した際、全く別の動きを見せるケースがあることに気付き、実験で行動を分析した。

 実験では、〈1〉ごろん(あおむけになる)〈2〉敬礼(前脚を顔につける)〈3〉バイバイ(左前脚を振る)〈4〉倒立(前脚で倒立をする)〈5〉お回り(横回転をする)――のボイスサインから、2単語を組み合わせて指示。多くは意味通りの動作を連続させたものの、四つのパターンで2単語を合体させたような動きが確認された。

 例えば、「ごろん」と「お回り」の場合、寝そべって縦回転をする「くるん」の動作を、「倒立」と「バイバイ」の場合、倒立をしながら後ろ脚を振る「パンパン」の動作をそれぞれ見せた。いずれも習得済みのボイスサインの動作だった。

 佐々木さんは「連続して動作することが難しいボイスサインの組み合わせの際に、似たような動きを選んで出している」と説明する。

 この実験から、ハマは「お回り」と「くるん」というボイスサインを「回る」という一つのカテゴリーで認識している可能性があり、人間が「回る」という言葉から複数の動きを連想するのと同じような能力をトドも持っていると考えられるという。

 さらに、二つの言葉の意味を組み合わせ、別の動作で表現できることもうかがわせた。

 結果は広島大の研究者と共同で論文にまとめ、心理学を扱う米国のオンライン学術誌に掲載された。トドを含む海洋哺乳類でこれらの能力を明らかにした論文は初めてという。

 トドの認知能力の高さについて、佐々木さんは「密集社会で生活し、普段から鳴き声で複雑なコミュニケーションをとっていることが関係しているのではないか」と推測。「言葉以外の分野でも探っていきたい」と話している。

 研究成果は、31日まで城崎マリンワールドで開催する「アカデミックライブ」で紹介している。開催日時は施設のホームページで確認できる。

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