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新型コロナ隔離で東京五輪欠場のテコンドー選手、「悪夢」乗り越えパリへ…「忍耐強く全てかける」

読売新聞 / 2024年8月6日 23時29分

チリの首都サンティアゴで、パリ五輪に向けて練習を積むアギレ選手(6月3日)=大月美佳撮影

 東京五輪で選手として初めて新型コロナウイルス陽性による欠場が判明したテコンドーのチリ代表、フェルナンダ・アギレ選手(27)が10日、パリ五輪で女子67キロ超級に出場する。東京都内のホテルで隔離され、泣き暮れた日々から3年たち、雪辱を誓う。(サンティアゴ 大月美佳)

 4月、ドミニカ共和国で開かれた五輪の代表選考大会。自分よりも一回り大きいハイチ人選手に連続で蹴り技を決め、パリへの切符を手にした。引退を踏みとどまった自分の決断は正しかったと実感した。両手を高く上げ、喜びをかみしめた。涙がこぼれた。

 3年前、初めての五輪を控えたアギレ選手の競技人生は、成田空港で暗転した。

 検査で新型コロナの陽性と判定された。試合は6日後で隔離期間は7日間だった。症状はない。コロナで開催が1年延びた分も鍛錬し、精神状態も好調だったが、舞台に立てなかった。「悪夢だ」。現実を受け入れられなかった。

     ◇

 幼い頃からジャッキー・チェンのアクション映画が好きで、跳び蹴りに憧れた。8歳の時、学校でテコンドーの講習会があると知り、手を挙げた。チリでは新しい競技だった。地元のトレーニングセンターに通い、ユース、社会人の選抜チームに加わり、頭角を現した。

 コロナ禍での東京五輪・パラリンピック大会で、陽性となった選手らは53人。宿泊先のホテルでの隔離期間が終わり、選手村にあった五輪のモニュメントの前で一緒に写真撮影したコーチが励ました。「もう一度、オリンピックに出るんだ。メダルを取ろう」。迷いながらも「パリ五輪でリベンジする」と答えた。

     ◇

 一度折れた心を立て直すのは簡単ではなかった。体重調整に失敗し、大会で出場機会を逃し続けた。「引退」の言葉がちらついた。階級を上げて臨んだブルガリア大会で右手を骨折した。

 4月、骨折したままパリ行きをかける大会に挑んだ。新たな階級は自分より体格が大きい選手がそろう。自信がなかったが、競技が始まると、速く動け、相手を観察する余裕もあった。3試合を1ラウンドも落とさず圧勝した。

 試合まであとわずか。2日にパリ入りし、負荷をかけない軽い蹴りのトレーニングで最終調整している。コンディションはよく、万全の状態だ。

 東京での隔離生活を思い出すと今も涙が出る。だからこそパリで活躍し、「忍耐強く、全てをかければ夢はかなう」と証明したい。励ましてくれた日本、世界の人々への恩返しにもなるからだ。選手村の様子をSNSに投稿すると、友人から「リベンジを果たす時だ」といった激励のコメントが相次いだ。

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