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サイバー防衛強化へ「平時からの侵入・無害化措置」を提起…政府の有識者会議が第3回会合

読売新聞 / 2024年8月6日 22時10分

 政府は6日、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向け、有識者会議(座長・佐々江賢一郎元駐米大使)の第3回会合を首相官邸で開き、議論の論点整理を行った。政府が平時から通信情報を分析し、攻撃元サーバーへの侵入・無害化措置は警察官職務執行法に基づいて行うことを提起した。

 河野デジタル相は会合の冒頭で、「民間企業への大規模なサイバー攻撃が明らかになっており、日本のサイバー対応能力の向上はますます急を要する課題になっている」と述べ、早期の提言を求めた。

 論点整理では、提言に向け、〈1〉官民連携の強化〈2〉通信情報の利用〈3〉攻撃元への侵入・無害化――の各分野について、これまでに出た意見を取りまとめた。

 官民連携の強化に向けては、重要インフラ事業者がサイバー攻撃を受けた場合、政府への事案の報告を義務化することや、官民の会議体を設置することを提案した。情報の保全を図るため、経済安全保障分野の重要情報に触れられる「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の活用も求めた。

 通信情報の利用では、「攻撃の実態を把握するためには、通信情報の分析を平時から行うことが必要だ」と強調した。その一方、コミュニケーションの本質的内容に関わる情報は「特に分析する必要があるとまでは言えない」と指摘した。分析対象は原則としてメール本文などではなく、IPアドレスやマルウェア(悪意のあるプログラム)などに限定すべきだとの考え方を示したものだ。制度を監視する独立機関を設置する必要性も明記した。

 攻撃元への侵入・無害化措置に関しては、被害の未然防止を目的とするため、事案が起きてから裁判所に令状を請求し、取得する手法では「対処できない」とし、「状況に応じた措置を即時的に実施する警察官職務執行法(警職法)を参考とすべきだ」との考えを盛り込んだ。政府内では、警職法を改正して侵入・無害化措置の法的根拠とし、警察と自衛隊が実施を担う方向で調整が進んでいる。

関連法案提出、先送りも視野

 政府は能動的サイバー防御の実現に向け、秋の臨時国会に関連法案の提出を目指しているが、9月に予定される自民党総裁選などで政治日程は窮屈で、与党内では、来年の通常国会へ法案提出を先送りする案が出ている。

 総裁選の情勢は不透明で、結果次第では直後の衆院解散・総選挙の可能性も取りざたされている。

 与党は臨時国会での法案処理では、7月の東京都知事選で不適切なポスターが掲示された問題などを踏まえて規制を強化するため、公職選挙法の改正を優先的に行いたい考えだ。

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