世界同時株安 政府・日銀は警戒感を高めよ
読売新聞 / 2024年8月7日 5時0分
上昇を続けた日経平均株価が暴落し、世界同時株安を招いた。翌日には急反発したが、金融市場の動揺は続いている。
政府・日本銀行は、実体経済に波及しないよう警戒を強めてもらいたい。
日経平均株価は5日、4451円も下がって、史上最大の下落幅を記録した。米株式相場の大暴落「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」を受けた1987年10月20日の下落幅を超えた。
アジアや欧州の株式市場も急落し、米国でも5日のニューヨーク株式市場でダウ平均株価が1000ドル超下げ、約1年11か月ぶりの大きな値下がりとなった。
6日の日経平均株価は一転して、3217円高で、過去最大の上げ幅となり、3万4675円まで戻した。外国為替市場でドルに対する円相場が乱高下しており、市場の動揺は続く恐れがある。
投資家の心理が冷え込めば、個人消費や企業の設備投資などに悪影響が及びかねない。
政府・日銀は、金融市場の安定に向け、今後の展開を注視してほしい。海外当局との密接な意思疎通も図っていくことが重要だ。
世界同時株安を招いた直接のきっかけは、米経済の先行きへの不安だ。米雇用統計が市場予想を大きく下回り、懸念が強まった。
日米の株式市場は、今年に入り急速に上昇したが、楽観が過ぎて過熱気味だとの指摘があった。
米連邦準備制度理事会の高水準の政策金利が続いても、景気を減速させずにインフレも抑制するという、経済の「軟着陸」に期待が膨らんでいた。生成AI(人工知能)を巡り、半導体関連株が相場を押し上げたのも大きい。
また、海外投資家は、日銀の超低金利政策による日米金利差で、今後も円安が続くとみて、割安な日本株を積極的に買ってきた。
それが、米経済への懸念やAIへの期待の
一方、日米とも実体経済や企業業績は、これまでのところ堅調だ。過度に悲観せずに、冷静に受け止めていくことが大切である。
岸田政権は、今年1月から少額投資の運用益を非課税にする「NISA」の制度を拡充するなど、「貯蓄から投資へ」を後押しする政策を推進してきた。
長期にわたる投資でリスクを回避し、資産形成を図るというのがNISAの基本理念だ。個人投資家が
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