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百人一首でも詠まれた淡路島の「チドリ」、砂浜減少で絶滅の危機…保全へ立ち上がった「ちどり隊」

読売新聞 / 2024年8月7日 15時0分

 百人一首に収められた和歌。「淡路島から渡ってくる千鳥の鳴き声に、幾夜目を覚まさせられたことか……」との意味で、かつて島の海辺には、チドリが多く生息していたことがわかる。今、チドリは絶滅の危機に直面しており、専門家や地元住民らでつくる「淡路島ちどり隊」が保全活動に取り組む。(大田魁人)

 「チドリは砂浜に茶色い卵を産む。踏まないように気をつけて」

 兵庫県南あわじ市の慶野松原海水浴場近くの砂浜で7月20日、「ちどり隊」リーダーの原彩菜さん(37)は、環境学習の一環で調査に同行していた市立西淡中学校の生徒7人に丁寧に説明した。

 生徒たちは生態や周辺に生い茂っている植物の特徴を学んだが、この日、チドリを観察することはかなわなかった。原さんは信じる。「地元の人や子どもたちに活動を知ってもらうことで、理解が広がるはずだ」

 淡路島には、年間を通して見られる「シロチドリ」(体長約18センチ)と、春~夏の繁殖期のみの「コチドリ」(同約16センチ)の2種類が生息。エサとなる虫が豊富で、カラスなどから隠れられる海浜植物が生い茂る砂浜にすみ、砂の上に直接卵を産む。淡路、洲本両市の市の鳥にもなっており、島民に親しまれてきた。

 全国的に生息数が減少しており、シロチドリは2012年に環境省のレッドリストで「絶滅の危機が増大」している絶滅危惧2類に分類された。13年には県のレッドリストでも、県内で絶滅の危機に直面し、緊急の保全対策などを要する「Aランク」となった。

 北海道出身の原さんは会社勤めをした後、県立淡路景観園芸学校に入学し、海岸の環境保全を研究していた。21年に淡路島内のチドリの現状を知り、修士論文のテーマにして調査を始めた。「白くてかわいい鳥。懸命に生きようとする姿に魅了された」という。

 島内では1969年に約90羽のシロチドリが観察されていた。原さんが島内を巡って調べると、2021年に確認できたのは約30羽だけ。埋め立てで砂浜が減ったことに加え、重機で海岸を清掃するため植物を刈り取っていることや、海水浴客が増えたことなども影響しているという。

 チドリが卵を産んで 孵化 ふかできる環境を整えようと、22年1月、県立大の藤原道郎教授や地元住民ら約20人と「ちどり隊」を結成。今は北海道の石狩市に住んでいるが、2か月に1度、島に戻っては海岸に保護エリアを設けたり、海水浴場に啓発看板を立てたりしている。

 原さんは「チドリの数が増えたら海岸の環境を整えることが大事になってくる。多くの人に理解を呼びかけ、協力者を増やしたい」と話している。

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