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新橋駅周辺で増加中の路上占拠の飲食店、赤いベストの警察OB「道路監察」が巡回指導

読売新聞 / 2024年8月7日 16時0分

新橋駅周辺の繁華街を巡回する指導員ら(7月24日、東京都港区で)

 JR新橋駅(東京都港区)周辺の繁華街で、公道上にテーブルや椅子を出して営業する飲食店が増え、区が今年度から対策の強化に乗り出した。「コロナ禍明け」で飲みに繰り出す人が増えていることが背景にあるとみられるが、通行の妨げになるだけでなく、火災の危険も懸念されている。区は「違法な道路の占拠を防ぎ、安心、安全な街へと変えていきたい」としている。(西村魁)

「道路監察」

 「こんにちは。ここ道路だから置いちゃだめなんですよ」

 7月24日夕、にぎわいを見せるJR新橋駅西口の一角。「道路監察」と書かれた赤色のベストを着た男性4人が、飲食店の前の路上に置かれた机と椅子を撤去するよう店員に注意した。店員が急いで片づけると、男性は「ご協力ありがとうございます」とその場を離れつつ、「また来ますね」と付け加えた。

 男性たちは、区が今年度から採用した巡回指導員だ。警察で刑事課や交通課などに勤務経験があり、退官後は路上喫煙の指導員を務めるなど、一般への対応経験が豊富な人たちを選んだ。36年間警察官を勤めた多田義夫さん(66)は「指導を粘り強く繰り返すことが大事。飲食店にはルールを守り、気持ちよく商売をしてもらいたい」と話す。

火災の危険も

 「サラリーマンの街」として親しまれ、1000軒以上の飲食店がひしめく新橋駅周辺。路上にせり出して営業する店舗が目立つようになったのは、新型コロナウイルスの感染症法の分類が5類に移行した昨年春からだという。区は「飲み会が復活し、飲食店がより多くの客を集めようと、客席を路上にまで広げているのではないか」とみる。

 だが、道路上に物を置く行為は道路法などで禁じられている。歩行者の通行の妨げになっているケースもあり、区に苦情が寄せられるようになった。

 新橋二丁目烏森町会の会長で、老舗料理店「末げん」を営む丸哲夫さん(82)によると、路上でコンロを使って焼き肉を提供する店も現れたという。「もし火災が起きても、道がふさがれていれば消防車が入っていけず、街全体に燃え広がる危険性がある」。丸さんはそう訴える。

指導1日40件

 こうした状況に区は昨年度、月1日程度のパトロールを始めた。だが、注意に従っても、しばらくすると再び路上にせり出して営業する店が絶えず、「イタチごっこ」の状態が続いたため、今年度は一般会計当初予算に約3300万円を計上。巡回指導員として4人を新たに採用し、火曜から金曜日までの週4回、夕方~夜の時間帯に街を見回るようにした。

 パトロールを始めた今年4月は、違反の指導件数は1日あたり約40件に上った。その後、巡回の効果が徐々に表れ、7月の指導は約20件にまで落ち着いたという。区の担当者は、「指導経験が豊富な警察OBの巡回は、区職員がやるよりも効果がある」と語る。

 ただ、最近は、土日のほか、火曜から金曜でも、巡回指導員が来ない時間帯を見計らって路上にテーブルを出す店が出てきた。区は今後、注意を無視し続けるなど悪質なケースについては刑事告発も検討するとしている。

 区芝地区総合支所の大久保光正・まちづくり課長は「飲食店には適切な方法で商売をしてもらうことで、地域のにぎわいづくりにつなげてほしい。そのためにも粘り強く指導を続けていく」と話した。

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