有田工の元エース・塚本侑弥さん、コロナ禍で受けられなかった甲子園の大声援をアルプスから弟たちへ

　第１０６回全国高校野球選手権大会で７日、開会式直後の第１試合に登場した有田工の応援席では、塚本光貴選手の兄で２０２２年に同校のエースとして甲子園のマウンドに立った侑弥さん（２０）が声援を送った。

　コロナ禍での出場だった侑弥さん。大会前に自身を含めて集団感染が発生し、一時は出場が危ぶまれた。それでも仲間同士で励まし合い、初戦で敗退したものの、すでに入部していた光貴さんがスタンドから見守る中、粘りの投球で１試合を投げきった。

　今大会に向けての出発前、光貴選手に「頑張れよ」と声をかけると、「余裕」と一言だけ返された。「県内で一番きつい」と言われる厳しい練習をこなしていることを自身も知るからこそ、「大丈夫だな」と頼もしく思った。

　２年ぶりに訪れた甲子園。今度はマウンドではなくアルプス席に立つ。自分たちの世代は制約で浴びられなかった大声援を、力を込めて弟に送った。