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文田健一郎がたどり着いたハイブリッドレスリング、「銀」東京五輪後に磨いた「面白くない戦い方」

読売新聞 / 2024年8月7日 13時22分

 第33回夏季五輪パリ大会は第12日の6日、レスリングの男子グレコローマン60キロ級で、2021年東京大会銀メダルの文田健一郎(28)(ミキハウス)が、金メダルを獲得した。グレコローマンの日本勢としては、1984年ロサンゼルス大会52キロ級の宮原厚次以来、40年ぶりの優勝となる。

 決勝の残り10秒を切り、中国選手の動きが激しさを増しても、文田は落ち着いていた。粘り強く反撃をしのぎ切り、危なげない勝ちっぷり。「最高です。長かった。東京五輪からたくさんの苦悩や葛藤があった」と万感の表情で振り返った。

 前半に相手を回転させるなどして3点をリード。先手を取った後は、不用意に前に出ない冷静な試合運びが光った。豪快な反り投げが出ない、本人いわく「面白くないレスリング」。金を逃した東京大会後に追い求めた戦い方だ。

 3年前の「銀」が葛藤の始まりだ。決勝でキューバ選手の圧力に屈し、自信のあった反り投げを繰り出すこともできず、泣き崩れた。

 勝てないなら必要ないと、その後は「大好きな投げを捨てた」。手堅く守り、寝技から得点する戦術を徹底。「地味だし面白くない。でも、勝つスタイルならば、それを貫く」。両手に かせをした状態で、昨年の世界選手権決勝で負ける直前まで戦った。

 当時を「我ながら意固地だった」と振り返る。ただ、十八番の大技を一度捨て、足りないピースを手にした。パリ五輪代表に内定し、練習で封印を解いた時は進化を実感した。今は「武器は投げと守りを組み合わせたハイブリッドレスリング」と自信を持って言い切れる。

 言葉通り、今大会の準決勝は豪快な投げ、決勝は手堅い守りで勝ち抜いた。「3年かけてたどり着いた自分のレスリングがすべて出た」。回り道はむだではなかった。(佐野司)

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