ハリス氏、同盟国重視の外交継承へ…対イスラエルは「厳しい姿勢」との観測も
読売新聞 / 2024年8月8日 7時14分
【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)=向井ゆう子】11月の米大統領選で民主党の指名候補に決定したカマラ・ハリス副大統領は、同盟国を重視し、米国主導の国際秩序の維持を目指すバイデン政権の外交路線を踏襲するとみられる。
ハリス氏は、バイデン氏の代理で数々の国際会議に出席している。今年6月にはウクライナが提唱する和平案について協議する国際会議「平和サミット」に出席。演説で「ロシアに代償を払わせ続ける」と述べ、米国による人道支援を表明した。
2月にもミュンヘン安全保障会議で演説し、「米国の北大西洋条約機構(NATO)に対する神聖なコミットメント(関与)は鉄壁であり続ける。米国が自らを孤立させれば脅威は増大するだけだ」と、孤立主義的な政策を掲げる共和党のトランプ前大統領との違いを強調した。
日本を含めた東アジアや東南アジア諸国連合(ASEAN)も歴訪した。バイデン政権が「最大の競争相手」と位置づける中国についても、対中輸出規制政策などで強硬姿勢をとりながら対話を続けるとみられている。
変化の可能性があるのが対イスラエル政策だ。イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ情勢をめぐり、米国の若者はパレスチナに同情的だ。ハリス氏は7月下旬、訪米したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の議会演説を欠席し、ネタニヤフ氏と会談後の記者会見でも、パレスチナ人の苦しみについて「沈黙しない」と述べた。
大統領に就任すれば、イスラエルに厳しい姿勢をとるとの観測が出る一方、「ユダヤ系の政財界での影響力は強く、本格的な政策変更は不可能だ」(外交筋)との見方も強い。
注目が集まっているのが、副大統領候補に選ばれたミネソタ州のティム・ウォルツ知事と中国の関係だ。大学卒業後、1989年から1年間、中国広東省で英語などを教えた。
ウォルツ氏が「中国と必ずしも敵対関係である必要はない。協力できる分野も数多くある」と語る2016年のインタビューがSNSに投稿され、専門家らが中国に対する見方の分析を進めている。
「急進左派のコンビ」 トランプ氏ら一斉批判
【ワシントン=田島大志】米共和党は6日、民主党が副大統領候補にミネソタ州のティム・ウォルツ知事を指名したことを受け、ハリス副大統領との組み合わせが極端に左派寄りだと主張して一斉に批判した。
トランプ前大統領は6日、SNSに「これは史上最も急進左派のコンビだ」と書き込んだ。ウォルツ氏は労働者の権利拡大など左派色の強い政策を推進してきただけに、左派色を強調することで無党派層の引きはがしを図ろうとしている。
共和党は、同州で4年前に黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に首を押さえつけられて死亡した事件後の対応も問題視している。人種差別に抗議する「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切だ)」運動の参加者は一部、暴徒化しただけに、知事として「BLMの暴徒を支持した」(エリス・ステファニク下院議員)と追及している。
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