米大統領候補 短期決戦だからこそ政策語れ
読売新聞 / 2024年8月8日 5時0分
11月の米大統領選は、民主党のハリス副大統領と、共和党のトランプ前大統領が戦う構図がようやく決まった。
投開票日まで100日を切る異例の短期決戦となる。どちらが超大国のリーダーにふさわしいかを有権者が見極められるよう、両候補はめざす国家像や政策を競い合ってほしい。
今回の大統領選は、再選をめざしていたバイデン大統領が7月に撤退し、情勢が一変した。民主党は19日からの党大会前にオンライン投票を行い、ハリス氏が新たな大統領候補に指名された。
党内の混乱を収拾するには、バイデン氏が推したハリス氏でまとまるしかなかったわけだが、民主党の戦略は今のところ奏功している。支持率でハリス氏がトランプ氏を上回る世論調査もあり、トランプ氏の優位は消えつつある。
81歳のバイデン氏から59歳のハリス氏に世代交代したことや、当選すれば女性、アジア系として初の米大統領が誕生することが、若者や無党派層に好意的に受け止められたのは間違いない。
ハリス氏は、副大統領候補にミネソタ州のティム・ウォルツ知事を選んだ。中西部出身の白人男性の起用で、労働者層や農村部への支持を広げる狙いだろう。
これまでの大統領選では、各党の予備選から本選まで1年近いレースを通じて、大統領候補の資質が吟味されてきた。ハリス氏はこうしたプロセスを経ていない。経済や外交・安全保障など包括的な政策を示してもらいたい。
一方のトランプ氏が、7月の暗殺未遂事件直後には抑制した個人攻撃を再開したのは残念だ。
インド系の母とジャマイカ系の父を持つハリス氏について、「インド系から、急に黒人になった」と決めつけた。副大統領候補のバンス氏も、女性を
人種や性別をめぐる攻撃は、白人労働者層に訴える戦術かもしれない。だが、不適切であるだけでなく、急追するハリス氏を引き離す狙いとは逆効果ではないか。
9月には、両大統領候補が直接対決するテレビ討論会が予定される。トランプ氏は、事前の取り決めとは違う日程や他局での開催を一方的に主張している。論戦を避けている印象は否めない。
米国では景気減速への懸念が強まり、欧州や中東の情勢は緊迫している。両大統領候補は、国内外の課題にどう向き合うつもりか。相手候補への不毛な中傷に時間を費やしている場合ではない。
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