金メダルだけじゃない、レスリング日下尚が「夢」実現…お決まりのバック宙や「名言」拝借

レスリング男子グレコローマンスタイル７７キロ級で金メダルを獲得し、宙返りする日下尚（中央）（７日、パリで）＝関口寛人撮影

　パリオリンピック・レスリング男子グレコローマン７７キロ級の決勝が７日行われ、初出場の 日下 (くさか) 尚 (なお)（２３）（三恵海運）が金メダルを獲得した。五輪代表メンバーの中でも指折りのひょうきん者は優勝後、派手なパフォーマンスで喜びを表現し、軽妙な受け答えで報道陣を笑いの渦に巻き込んだ。（デジタル編集部　深井千弘）

　カザフスタン選手との決勝を制し、リング上でウィニングランを終えると、マットの端に立った。小走りで駆け出すと、ロンダートからのバック宙を披露。「歴代のオリンピックチャンピオンたちがバク宙するのを見て育ったので、自分もあの場でするのが夢だった」と満面の笑みで振り返った。

　テレビインタビューでは、レスリングの試合時間に触れ、「最高に楽しい６分間でした」と喜びを表現。２０００年のシドニー五輪女子マラソンで高橋尚子さんが金メダルを獲得した際に語った「すごく楽しい４２キロでした」という言葉を借用した。２０００年生まれの日下は「めっちゃ前から考えていました。高橋尚子さんが自分の名前の由来なので」と明かした。

　テレビインタビューを終え、報道陣の前に姿を現した際には、「どんなもんじゃい！」とプロボクシング元世界王者・亀田興毅さんの決めぜりふを引用。「こういう時に名言は出るものだと思うんですけど、ほんまに『最高』しか言えない」とおどけて見せた。

　決勝を前に、すでに金メダルを目にしていたのだという。前夜のグレコローマン６０キロ級で優勝した文田健一郎（２８）から７日朝、輝くメダルを選手村で見せられていたことから、自身の表彰式を前にした心境は「結構、冷静」。それでも、実際に首から掛けられると、「今までのどんなメダルよりも重い」と実感し、「絶対、今夜は（メダルと）一緒に寝ます」と声を弾ませた。