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兵庫知事、パワハラ告発を把握直後に調査指示…「公益通報とは認識していなかった」

読売新聞 / 2024年8月8日 9時19分

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、斎藤知事は7日の記者会見で、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が報道機関などに送った告発文書の存在を把握した直後に、県幹部らに内部調査を指示していたことを明らかにした。公益通報との認識はなかったとし、「文書に信用性がなく、対応に問題はない」と述べた。

 斎藤知事は記者会見で、内部告発への対応について時系列で説明。それによると、男性職員は3月12日、パワハラなど7項目の疑惑を指摘する文書を作成し、報道機関などに送付した。

 斎藤知事は知人の指摘で同20日に文書の存在を把握。翌21日に県幹部らと対応を協議し、団体や企業名が記されていたことから影響が大きいと判断し、作成者などを調査するよう指示した。文書は匿名だったが、内容から男性職員と想定。片山安孝副知事(辞職)が同25日、男性職員から事情聴取したところ、文書の作成を認め、「うわさ話を集めて作成した」と説明したという。

 公益通報者保護法は、通報内容に「事実と信じるに足りる相当の理由」などがある場合、通報者を保護するよう定め、報道機関などへの「外部通報」も対象としている。同法の指針では、告発者捜しを禁じる「通報者探索の防止」も規定している。

 県は4月中旬になって、男性職員の行為が公益通報に当たるかを弁護士に相談。うわさ話を集めたという男性職員の説明から、「公益通報には当たらない」との回答を得たという。

 男性職員は4月4日には県の公益通報制度を利用し、内部通報も行ったが、県の人事当局はこの通報に基づく調査を待たず、5月7日には文書を「核心的な部分が事実ではない」とする内部調査の結果を公表し、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。

 斎藤知事は記者会見で、「文書には裏付ける証拠や信用性の高い供述がなく、公益通報とは認識していなかった」と説明。報道機関などへの文書の送付が公益通報になり得ると認識した時期について問われると、「法的な内容を含めて明確に認識したのは5月7日までの間」と述べるにとどめた。

 男性職員が県に公益通報した調査結果がまとまらないうちに懲戒処分を決めた対応については、「通報した行為に対する処分ではなく、通報以前の文書を作成した行為について処分しており、問題ない」との認識を示した。男性職員が県の聴取にどう答えたかは詳しく答えず、「改めて説明させてもらいたい」と語った。記者会見は3時間40分に及んだ。

制度ないがしろ

公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授(労働法)の話「公益通報だという認識がないまま犯人捜しをしたことは、制度をないがしろにした対応ではないか。やましいことがないのであれば、堂々と中立公正な立場の第三者による調査を行えばよかった。知事自身が告発を潰してしまったと評価せざるを得ない」

臨時の県市長会、厳しい声相次ぐ

 兵庫県内全29市でつくる県市長会の緊急臨時総会が7日、神戸市内で開かれ、各市長から斎藤元彦知事への厳しい意見が相次いだ。

 臨時総会は、斎藤知事を巡る問題を受け、複数の市長から意見交換の場を求める声が上がり、開催された。

 29市のうち22市の市長らが出席し、会長を務める酒井隆明・丹波篠山市長が「大変ゆゆしき残念な事態だ」などと言及。越田謙治郎・川西市長は、片山安孝副知事ら側近3人が辞職や病欠で不在となっていることに触れ、「非常に危機的な状況。一日でも早く体制を整えるように伝えるべきだ」と訴えた。

 また、岩根正・加東市長は「新たな政策議論には知事の指導力が必要。今後に向けての体制を確立してもらう必要がある」と述べ、 蓬莱 ほうらい務・小野市長は「組織として統治されていない」と県の対応を厳しく批判した。

 市長会は、県政の混乱で市政が停滞しないよう、今月23日に斎藤知事に要望することを申し合わせた。

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