ウクライナ軍がロシア西部に越境攻撃か…プーチン氏反発「大規模な挑発行為だ」

　ロシア国防省によると、ウクライナ軍が６日から国境を越えて露西部クルスク州に侵入し、激しい戦闘が続いている。ロイター通信はロシアによるウクライナ侵略開始後、ウクライナ軍による露領内への最大規模の攻撃だと伝えた。プーチン露大統領は７日、ウクライナ軍による民間施設への無差別攻撃として、「大規模な挑発行為だ」と主張した。

　ウクライナ側は攻撃に関してコメントしていない。露国防省によれば、ウクライナ軍はモスクワの南西５３０キロのクルスク州スジャ付近に進軍した。露独立系メディアは複数の集落を制圧したと報じた。タス通信によると、ロシア側で５人が死亡、２４人が負傷した。

　スジャは露産天然ガスの欧州向けの輸送拠点。一部の軍事ブロガーが関連施設が制圧されたと伝え、ガス価格が急騰した。スジャの北東約６０キロには、クルスク原子力発電所がある。

　露軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長は、約１０００人規模のウクライナ軍兵士が６日朝に攻撃を始め、露軍が進軍を阻止したと主張したが、真偽は不明だ。ゲラシモフ氏はウクライナ軍を国境まで押し戻すと強調している。ＳＮＳではクルスク州内で攻撃を受けた住居や露軍兵士が捕虜になった映像が流れている。

　軍事ブロガーからは、ウクライナの攻撃の意図について、苦戦を強いられてきた東部戦線から露軍を引きはがし、戦力を分散させる狙いがあるとの指摘も出ている。