1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

「物まね」で強豪対策・ロシアなどへの武者修行…須崎優衣、準備尽くした末の笑顔なき「銅」

読売新聞 / 2024年8月8日 17時43分

レスリング女子50キロ級で銅メダルを獲得して涙ぐむ須崎優衣選手(7日、パリで)=関口寛人撮影

 第33回夏季五輪パリ大会は第13日の7日、レスリング男子グレコローマン77キロ級で、初出場の日下尚(23)(三恵海運)が金メダルに輝いた。女子50キロ級で連覇を逃した須崎優衣(25)(キッツ)は、3位決定戦を制して銅メダルを獲得。同53キロ級の藤波朱理(20)(日体大)は決勝に進出し、銀メダル以上が確定した。

連覇の夢「4年後、8年後に」

 完勝にも笑顔はない。胸の前で両手を合わせ、何度も観客席に頭を下げた。レスリング女子50キロ級で、銅メダルを獲得した須崎優衣選手(25)。まさかの初戦敗退から立て直し、前回女王の意地を見せた。(上田惇史)

 3年前の東京五輪を競技生活の集大成にするつもりだった。試合会場となったのは、地元・千葉県の幕張メッセ。観客がいない会場で表彰台の真ん中に立った瞬間、心が変わった。

 「今度は客席が埋まった状態でこの景色を見たい」

 パリでの連覇に向けて掲げたのは、相手に1ポイントも与えずに頂点に駆け上がった東京のように、圧倒的な力を示すこと。トップに立ち、相手に研究されて思うように戦わせてもらえない試合が増えた。

 磨き上げてきたのが、対応力だった。高校時代からの練習パートナー 吉柴未彩輝 よしばみさきさん(24)に、様々な選手の「物まね」を頼んだ。ライバルのタックルに入る前の動作、技のかけ方、フェイントの動き――。

 映像を見て、特徴をつかんでその選手になりきった吉柴さんを相手に練習を重ねた。「研究されるなら、自分も研究して上回ればいいだけ」と対策を練った。

 もう一つ始めたのが、海外での武者修行。SNSを通じて憧れの選手に自ら連絡をとり、海を渡るようになった。誰も同行しない。「一人で未知の世界に飛び込むからこそ、得るものが大きいし、成長できる」

 アメリカ、ドイツ、ロシア南部ダゲスタン共和国、ハンガリー……。言葉は通じなくても、組み手やタックルの技術を教わる。引き出しが増え、吉柴さんは「東京の時とは別の選手のよう」と舌を巻いた。

 「全ての面においてレベルアップした。どんなことがあっても、絶対に勝てる準備をしてきた」と自信を持って挑んだ。だが、1回戦で初めて対戦したインド選手に逆転負けを喫した。

 喪失感に襲われる中、立ち上がるきっかけをくれたのは、家族やファンからの励ましの声だった。「オリンピックチャンピオンじゃないと価値がないと思っていたけど、一人の人間として応援してくれた」

 2014年のデビューから続けていた国際大会の24回連続優勝も、対外国選手の94連勝も止まった。「悔しい気持ちを糧に必ず、4年後、8年後に金メダルを獲得して、最高の恩返しをする」。3位決定戦でつかんだ1勝とともに、挑戦者として再び歩み始めた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください